印刷所への入稿時にPDFの文字化けやレイアウト崩れで困った経験はありませんか?大切な資料が正しく印刷されないトラブルは、仕事の品質に直結する重要な問題です。
この記事では、PDF印刷時にフォントが崩れる根本的な原因と、確実な対策方法を詳しく解説します。また、PDFelementの新機能「文字のアウトライン化」を使った効果的な解決法も紹介します。
PDF印刷時の文字化け・フォント崩れとは?
PDF印刷時の文字化けやフォント崩れは、デジタル環境では正常に表示されるPDFファイルが、印刷時に意図しない表示になってしまう現象です。この問題は主に以下のような症状として現れます。
- 文字化け:文字が記号や別の文字に置き換わって表示される
- フォント置き換え:指定したフォントとは異なるフォントで印刷される
- レイアウト崩れ:文字間隔や行間が変わり、全体のデザインが崩れる
- 文字の欠落:一部の文字が印刷されない状態
これらの問題は、特に印刷所での商業印刷や重要な書類の印刷時に深刻な影響を与えるため、事前の対策が不可欠です。
PDF印刷でフォントが崩れる主な原因
PDF印刷時のフォント崩れには、技術的な要因が複数関わっています。問題を根本的に解決するために、まず主要な原因を理解しましょう。
(1) フォントの埋め込み不備
・PDFにフォント情報が適切に埋め込まれていない
・フォントファイルの一部のみが埋め込まれている状態
(2) 印刷環境にフォントが未インストール
・印刷機やプリンタードライバーにフォントがインストールされていない
・フォントのバージョン違いによる互換性問題
(3) フォントライセンスの制限
・商用利用が制限されているフォントの使用
・埋め込み禁止設定されているフォント
(4) PDFバージョンの互換性問題
・古いPDFバージョンでの作成
・印刷システムとの互換性不足
(5) 印刷設定が不適切
・解像度設定の問題
・カラーモードの不一致
これらの原因を特定することで、適切な対策を選択できます。
PDF印刷時のフォント崩れを防ぐ基本対策
フォント崩れを防ぐためには、PDF作成段階から印刷設定まで、段階的なアプローチが重要です。
1. フォントの埋め込み確認方法
PDF内のフォント埋め込み状況を確認する方法をご紹介します。
(1) PDFelementでの確認手順
①「ファイル」→「プロパティ」→「フォント」情報を選択
②フォント一覧でサブセット状況を確認

(2) Adobe Acrobat Readerでの確認手順
①「メニュー」→「文書のプロパティ」→「フォント」タブを選択
②各フォント名の横に「(埋め込み)」または「(埋め込みサブセット)」の表示を確認

2. 印刷設定の最適化
印刷品質を確保するための推奨設定をまとめました。
(1) 解像度設定
・商業印刷:300~350 DPI
・オフィス印刷:150~200 DPI
・大判印刷:100~150 DPI
(2) カラーモード設定
・フルカラー印刷:CMYK
・モノクロ印刷:グレースケール
・特色印刷:専用カラープロファイル使用
(3) 用紙設定
・実際の印刷用紙サイズと一致させる
・余白設定を適切に調整
・拡大縮小機能は使用しない
3. 互換性の高いフォント選択
印刷トラブルを避けるためのフォント選択ガイドラインを示します。
(1) 推奨フォント
・日本語:游ゴシック、游明朝、ヒラギノ
・欧文:Arial、Times New Roman、Helvetica
・デザイン用途:商用ライセンス確認済みフォント
(2) 避けるべきフォント
・システム依存の特殊フォント
・ライセンス不明のフリーフォント
・埋め込み制限のあるフォント
PDFelementの「文字のアウトライン化」機能で完全解決
PDFelementの最新機能を活用することで、フォント問題を根本的に解決できます。
1. アウトライン化とは?
アウトライン化は、文字データを図形データに変換する技術です。この処理により、文字はベクター図形として扱われ、フォント情報に依存しない状態になります。アウトライン化の仕組みは以下のとおりです。
・文字の形状がベクターパスとして記録される
・フォント情報が不要になる
・環境に関係なく同じ表示が保証される
2. PDFelementでのアウトライン化手順
Windows版PDFelement バージョン11.4.20の新機能を使った具体的な操作方法をご説明します。
① PDFファイルの読み込み:対象のPDFファイルを開き、ファイルが正常に読み込まれることを確認
②アウトライン化の実行:メニューバーの「ツール」タブをクリックし、「その他」の「アウトラインを作成」を選択すると、アウトライン化されたシートが作成される
③ 結果の確認と保存:アウトライン化の結果を目視確認し、「名前を付けて保存」で新しいファイルとして保存

3. アウトライン化のメリットとデメリット
アウトライン化機能の特徴を理解して、適切に活用しましょう。
(1) アウトライン化のメリット
・環境依存性の完全解消
・印刷品質の向上と安定化
・フォントライセンス問題の回避
・印刷所でのトラブル大幅減少
(2) アウトライン化のデメリット
・アウトライン化後の文字編集不可
・ファイルサイズの増加
・小さな文字の可読性低下リスク
・処理時間の増加
アウトライン化は印刷用の最終データ作成時に実行し、編集用の元ファイルは別途保管することをお勧めします。
その他の効果的な対策方法
アウトライン化以外にも、PDF印刷の信頼性を高める方法があります。これらの対策を組み合わせることで、より確実な印刷結果が得られます。
(1) PDF/A形式での保存
PDF/A形式は長期保存とアーカイブ用途に特化したPDF規格で、この形式で保存することによりフォントが埋め込まれ、将来的な互換性問題も回避できます。

(2) 印刷プレビュー機能
PDFelementの印刷プレビュー機能を使用して、実際の印刷前に表示状態を確認します。この機能により、フォント置き換えやレイアウト崩れを事前に発見できます。

(3) 印刷所との事前確認
商業印刷を依頼する際は、印刷所と以下の項目を事前確認することが重要です。
・推奨PDF設定
・対応フォント一覧
・プリフライトチェック結果
・色校正の要否
まとめ
PDF印刷時の文字化けやフォント崩れは、フォント埋め込み不備や環境の違いが主な原因です。基本的な対策として、フォントの埋め込み確認、印刷設定の最適化、互換性の高いフォント選択が有効です。特にPDFelementの新機能「文字のアウトライン化」を活用することで、環境に依存しない確実な印刷結果を得ることができます。重要な印刷物を扱う際は、これらの対策を組み合わせて活用し、品質の高い印刷物を制作してください。