現代のデジタル環境では、様々なファイル形式が存在し、それぞれに特有の利用シーンがあります。特に、PDF形式とPublisher形式(.pub)は、印刷物やデザイン作業においてよく使用されます。この記事では、PDFファイルをPublisher形式に変換する方法を紹介します。3つの主要な方法を解説し、どの方法が最適かを選ぶためのヒントもお伝えします。
Publisherとは?主な対応ファイル形式
Microsoft Publisherは、印刷物やデジタルコンテンツの制作を行うためのデザインソフトウェアです。特に、ニュースレターやパンフレット、ポスターなどの作成に向いています。Publisherは、直感的なインターフェースと豊富なデザインテンプレートを提供しており、プロフェッショナルな印刷物を簡単に作成できるツールです。
主に対応するファイル形式は以下の通りです。
・ .pub(Publisher専用形式)
・.docx(Word)
・.txt(テキスト)
・.html(Webページ)
これらの形式は、Publisherを使用して編集や調整が可能で、最終的に印刷用のデザインを完成させることができます。しかし、PDFファイルをそのままPublisherで編集することはできず、変換作業が必要となります。
PDFとPUB形式の違い
PDFとPUB形式は目的が異なるため、その構造や使用法も異なります。
(1) PDF
・特徴:PDFは、異なるデバイスやプラットフォーム間で文書を正確に表示できることを目的としたフォーマットです。レイアウトが固定されており、文書内のテキストや画像がそのまま保持されます。
・利用シーン:主に配布や印刷、アーカイブなどに使用されます。編集は基本的に難しく、主に閲覧用として使われます。
(2) PUB
・特徴:Publisher形式は、デザインやレイアウトを自在に編集できるファイル形式です。特に印刷物のデザインに特化しており、テキストや画像の位置を自由に変更できます。
・利用シーン:パンフレット、チラシ、ポスターなどのデザインに利用されます。Microsoft Publisherを使用して編集・作成が可能です。
PDFをPUBに変換する方法
PDFファイルをPublisher形式(.pub)に変換するためには、専用のソフトウェアやオンラインツールを使用する必要があります。以下に、代表的な変換方法を紹介します。
Able2ExtractでPDFをPUBに変換する
Able2Extractは、PDFファイルをさまざまな形式に変換できる強力なソフトウェアです。このツールを使うことで、PDFファイルを簡単にPUB形式に変換することができます。
(1) 特徴
・PDFファイルを直接Publisher形式に変換できます。
・PDF内のテキスト、画像、レイアウトをそのまま保持し、変換後も高い精度で再現されます。
・7日間の無料トライアルが提供されており、試用後に購入を検討できます。
・表示も変換も日本語に対応していません。
(2) 変換手順
- Able2Extractを起動し、「Open」をクリックするかドラッグ&ドロップでPDFファイルを開きます。
- 「Publisher」をクリックします。
- ファイル名と保存先を指定して「保存」をクリックします。
- 変換が終了すると保存され、Publisherが起動してPUBファイルが開かれます。


PDFelementでPDFをPUBに変換する
PDFelementは、PDFの編集や変換を行う人気のあるツールですが、直接PDFからPUB形式に変換することはできません。しかし、以下の方法でPUB形式に変換することができます。
(1) 変換方法
- PDFをPDFelementで開き、Wordやテキスト形式(.docxや.txt)に変換します。
- 変換したWordやテキストファイルをMicrosoft Publisherで開き、編集を開始します。
- PUB形式で保存します。



(2) 特徴
・ PDFファイルのテキストや画像を編集可能な形式に変換できます。
・変換後もファイルの内容を調整することができ、Publisherでの編集が容易になります。
直接的なPUB形式への変換ができないため、少し手間がかかりますが、編集作業をしながら変換できるため便利です。
オンラインツールでPDFをPUBに変換する
ネット上には、「PDFをPUBに変換できる」とうたっているオンラインツールもいくつかありますが、実際に使ってみると上手くいかないことが多いようです。オンラインツールを使う場合は上記と同様、オンラインツールでまずPDFをPublisher対応形式(docやtxtなど)に変換し、その後Publisherで開いてPUB形式に変換しましょう。
(1) オンライン変換ツールの例
Acrobatオンラインツール、HiPDF、Smallpdf等、多くのサイトで変換可能です。

【Acrobatオンラインツール】 【HiPDF】 【Smallpdf】
(2) 特徴
・インストール不要で、ブラウザ上で直接変換作業ができます。
・無料のツールも多く、手軽に試せます。
(3) 変換方法
・PDFファイルをアップロードし、変換形式を選択して変換した後にダウンロードします。
(4) 注意点
・ファイルサイズや変換精度に限界がある場合があります。
・大きなファイルや複雑なレイアウトがあるPDFの場合、変換結果がうまくいかないことがあります。
・セキュリティ上の懸念があるので、機密情報を含むファイルの使用は避けましょう。
変換する前にPDFファイルを編集や修正する
PDFファイルを変換する前に、内容に誤りがないか、レイアウトが適切かを確認することは非常に重要です。特に、文字の誤植や画像の配置が間違っていると、変換後に不具合が生じる可能性があります。
PDFelementを使用すれば、PDFファイルの編集機能を活用して、変換前にファイルを修正することができます。具体的には、以下の操作が可能です。
①テキストの修正:PDF内のテキストが誤っている、またはフォントが適切でない場合、変換後にそのまま使い物にならないことがあります。PDFelementを使用すれば、PDF内のテキストを簡単に修正することができます。これにより、変換後に発生するレイアウト崩れやフォントの不一致を防ぐことができます。
②画像やグラフィックの調整:PDFに含まれる画像やグラフィックは、特にレイアウトが複雑な場合、変換後に配置が崩れることがあります。PDFelementでは、PDF内の画像やグラフィックの位置やサイズを変更することができます。
③ページの追加や削除:PDF内にページを追加したり、不要なページを削除したりすることも可能です。特に長いPDFの場合、必要のないページを削除することで、変換後のデータが整理され、作業がスムーズになります。
④注釈の追加と修正:PDFに注釈やコメントを加えている場合、それらが変換後に反映されないこともあります。特に、校正やレビューを行った場合、注釈が重要です。PDFelementでは、注釈を追加・修正することができます。

まとめ
PDFファイルをPublisher形式に変換する方法には、いくつかの選択肢があります。最も効率的な方法としては、Able2Extractを使用する方法ですが、PDFelementやオンラインツールを使って、間接的に変換することも可能ですし、PDFファイルを編集してから変換することで、より高品質な仕上がりになります。目的や状況に応じて最適な方法を選択し、スムーズにPDFからPublisher形式への変換を行いましょう。