建築や土木の現場では、図面や設計資料の確認・修正が日常的に行われています。
かつては、紙の図面が主流で、修正をしたり、修正内容を共有したりするのに時間がかかるというデメリットがありました。
しかしながら、近年では、PDFアプリを活用し、タブレットやスマートフォンでPDF形式の図面を確認・編集することも可能です。
特に、建築・建設現場では、PDFアプリを使ってスピーディに図面を確認・編集・共有したいというニーズが高まっており、「現場で使えるPDFアプリ」の選定は業務効率に直結する課題ともいえます。
今回は、特にiOS端末(iPadやiPhone)で使用できる「建築・建設現場」に最適なPDFアプリの機能を紹介するとともに、注目のアプリ「PDFelement」の活用法についても詳しく解説していきます。
現場で使えるPDFアプリに必要な機能とは?
建築・建設現場で求められるPDFアプリには、単に「表示できる」だけでなく、現場作業のスピードと正確性を支えるさまざまな機能が求められます。
ここでは、現場対応型PDFアプリとして求められる4つの機能をご紹介します。
1.【閲覧機能】拡大・縮小、レイヤー切り替えが自在に
現場では、図面の細部を素早く確認できることが不可欠です。
そのため、PDFアプリには、次のように図面の閲覧をスムーズに行うための機能が求められます。
- スムーズなスクロールやページの移動
- 高解像度でのズームイン/アウト
- PDFレイヤーの表示切り替え機能(配線図、構造図、注釈レイヤーなど)
特に、CADソフトで作成されたPDFでは、レイヤーの切り替え機能があるかどうかで使い勝手が大きく変わります。
2.【注釈機能】現場からの指示もすぐ書き込める
紙図面のように、画面上に直接メモや指示を書き込める注釈機能も重要です。
そのため、PDFアプリには、次のように様々な方法で図面に直接書き込みができる機能が求められます。
- 手書きの文字・線
- テキストボックスの追加
- 矢印や囲み、図形ツール
- 音声メモやスタンプ
これにより、現場で気づいた変更点や指示事項をすぐに図面に反映し、関係者とリアルタイムで共有できるようになります。
3.【測定機能】長さ・面積の確認もデジタルで完結
現場作業では、寸法の確認や面積の算出が頻繁に行われます。
そのため、PDFアプリには、次のよう図面上で測定ができる機能が求められます。
- 図面スケールを設定し、実寸に応じた長さや面積を測定
- 距離・角度・面積などの自動計算
- 測定結果の保存と共有
これにより、メジャーや計算機を使った人力作業が不要になり、作業時間の短縮とミスの削減が期待できます。
4.【保護機能】セキュリティもしっかり確保して共有
建設プロジェクトでは、設計図面や契約関連文書など、機密性の高い情報を取り扱います。
そのため、PDFアプリには、次のようなセキュリティ機能も必要です。
- パスワード保護機能
- 印刷や編集の制限設定
- 暗号化されたクラウド保存
図面を共有する際にも、セキュリティ機能はとても重要です。
さらに、万が一、現場で端末を紛失した場合でも、データ漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。
建築現場で使えるPDFアプリ5選
ここでは、建築・建設現場で求められる機能を備えたPDFアプリ5つのアプリをご紹介します。
① PDFelement(iOS対応)

PDFelementは、PDFレイヤーの表示や切り替えが可能な数少ないPDF編集アプリです。
注釈機能も充実し、長さや面積をPCと同様に測定できる機能も搭載され、現場や外出先でも図面の詳細な確認・計測を実現します。
さらに、クラウドとの連携で、現場共有もスムーズです。
閲覧機能 | 注釈機能 | 測定機能 | 保護機能 |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
② Adobe Acrobat Reader(iOS対応)

Adobe Acrobat Readerは、PDFの閲覧と注釈に特化した高機能なPDFリーダーアプリです。
高度なセキュリティ機能、注釈の追加など幅広い編集機能を備え、現場や外出先でも活躍します。
PDFのレイヤー表示や高度な測定機能には対応していませんが、Adobe Document Cloudとの連携により、現場共有もスムーズです。
閲覧機能 | 注釈機能 | 測定機能 | 保護機能 |
△(レイヤー表示×) | ◎ | × | ◎ |
③ PDF Expert(iOS対応)

PDF Expertは、直感的な操作性と高いパフォーマンスを兼ね備えたPDF編集アプリです。
注釈機能やテキスト編集など、多彩な編集ツールが揃っており、外出先でも快適にPDF作業を行えます。
PDFのレイヤー表示や高度な測定機能には対応していませんが、iCloudやDropboxなど主要クラウドサービスと連携できるため、ファイル共有やチームでのレビューがスムーズです。
閲覧機能 | 注釈機能 | 測定機能 | 保護機能 |
△(レイヤー表示×) | ◎ | × | ◎ |
④ Bluebeam Vu for iPad

Bluebeam Vu for iPadは、建築・土木業界に特化したPDFリーダーアプリです。
高度な測定・図面比較機能、注釈に対してコメントや返信機能などにより、iPad上での図面閲覧や現場での確認作業を効率的に行えます。
ただし、日本語未対応であること、編集に必要なソフトの価格がやや高めという特徴もあるため、条件と機能のバランスを考慮する必要があります。
閲覧機能 | 注釈機能 | 測定機能 | 保護機能 |
◎ | 〇(表示のみ) | ◎ | 〇 |
⑤ GoodNotes(iOS対応)

GoodNotesは、PDFの閲覧や書き込みを得意とするノートアプリです。
Apple Pencilとの高い互換性を活かし、図面や資料にフリーハンドで注釈やコメントを追加することができます。
PDFのレイヤー表示や距離・面積の測定といった高度な機能には対応していませんが、iCloudやGoogle Driveなど主要クラウドサービスと連携できるため、ファイル共有やチームでのレビューがスムーズです。
これらのなかでも、PDFelementは、総合的な機能とコストパフォーマンスのバランスが非常に優れており、建設現場向けPDFアプリとして最もおすすめのアプリといえます。
PDFelement(iOS版)で図面を確認・操作する方法
PDFelement(iOS版)には、図面を効率的に活用できる機能が豊富に搭載されています。
ここでは、そのなかから「PDFレイヤーの表示」と「注釈を追加する」方法をご紹介します。
【PDFレイヤーを表示する】
PDFelement(iOS版)では、レイヤーの表示が可能です。
ここでは、PDFelement iOS版を使ってPDFレイヤーを表示する手順をご紹介します。
- PDFelementでレイヤー付きのPDFファイルを開きます。
- 「ブックマーク」アイコンをタップします。
- 「ブックマーク」が開きます。
- 「レイヤー」アイコンをタップします。
- 設定されているレイヤーが表示されます。

目のアイコンをタップすると、レイヤーの表示/非表示を切り替えることができます。
【PDFに注釈を追加する】
PDFelement(iOS版)では、簡単にハイライトや注釈を追加することができます。
ここでは、PDFelement iOS版を使って注釈を追加する手順をご紹介します。

- PDFelementPDFファイルを開きます。
- 「注釈」タブをタップします。
- ツールを選択し、入力する位置をタップします。
- 必要な事項を入力します。
まとめ
iOS端末を活用した建築・建設現場のデジタル化は、もはや特別なことではなく、業務効率化のための必須条件となっています。
なかでも、PDFアプリの活用は、図面確認・指示共有・修正作業など、業務の中心的な役割を果たすとともに、建築業務のスピードと精度をさらに高めるためにも重要なツールです。
特に、建築・建設現場に必要となる機能「閲覧」「注釈」「測定」「保護」を網羅した「PDFelement(iOS版)」は、他アプリと比較しても、操作性・機能性・コストのバランスに優れたPDFアプリといえます。
是非、PDFelement (iOS版)で、業務の効率化を進めていきましょう。