はじめに
弁理士や司法書士は「八士業」に数えられる法律の専門家ですが、業務範囲は大きく異なります。
今回は、弁理士になるために必要な資格やスキル、試験概要や学習方法をお伝えします。弁理士と司法書士…どちらの資格を取得しようか悩んでいる人も参考にしてみてください。また、仕事に役立てるツール、電子化した文書を編集と添付ファイルなど便利な機能を有するツール「PDFelement」(PDFエレメント)も紹介します。
目次:
1. 弁理士とは?司法書士との違いは?
弁理士は、企業や発明者の代理人として、知的財産と呼ばれる「特許」「意匠」「商標」「実用新案」等の申請などを行う専門家です。
それに対して、司法書士は不動産登記や商標登記、財産管理、過払い金請求などを主な業務としているため、われわれにとって ”身近な存在の法律家” と言えるでしょう。
2. 弁理士の主な仕事内容を紹介
弁理士は知的財産を守るために活動する専門家です。知的財産の権利を総称して「知的財産権」といい、下記の4つの権利は「産業財産権」と呼ばれています。これらは特許庁の所管です。
(1)特許権
新しい技術を開発した企業や、発明者に対して与えられる権利です。
(2)意匠権
いわゆる商品の「デザイン」に関する権利です。
(3)商標権
企業のロゴやわかりやすい商品名などが該当します。
(4)実用新案権
物品の形状、構造、組み合わせにかかわる考案についての権利です。
これ以外にも知的財産権はありますが、弁理士が取り扱うウェイトが大きいのは産業財産権と言えるでしょう。
弁理士の代表的な就職先は、特許事務所、または企業などの知的財産部門になります。その業務は大きく3つに分かれます。
(5)産業財産権を取得~維持する
◇ ① 産業財産権の申請まで
・企業などから依頼を受けると、その内容を詳細にヒヤリングします。
・ヒヤリングした内容を精査して特許庁に出願できるのかを判断します。
・出願できると判断した場合は、ヒヤリングした内容をもとに書類や図面などを作成して、特許庁に出願します。
(出願できないと判断した場合は、依頼内容の精査までで業務は終了します)
◇ ② 特許庁への登録完了後
特許庁への出願後、無事に登録が完了しても弁理士の業務は終わりません。
登録された後は、毎年の特許料・登録料の支払いなど、権利が失効しないように管理する必要があります。
(6)産業財産権を主張する
特別な試験をクリアした「付記弁理士」であれば、特許に関する裁判で代理人を務めることも可能です。
◇ ① 特許侵害訴訟
許可なく特許を使用された場合など、特許侵害を訴える裁判で弁護士と共に争います。
◇ ② 特許出願で認められなかったとき
特許庁に出願したけれども認められなかった…それを不服とした裁判でも、弁理士が代理人を務めることができます。
(7)企業へのコンサルティング
◇ ① 特許を取得済の場合
その特許をどのように有効活用すればよいのか、特許を利用した製品開発に向けてのアドバイスなどを行います。
◇ ② さらに特許を取りたい場合
企業の専門性・特異性などを見極めた上で、今後どのような特許を取るべきなのか、どのような分野がねらい目なのか…などを提案をします。
3. 弁理士に求められるスキルとは
「理系の弁護士」とも称される弁理士にはどのようなスキルがあると有利なのでしょうか?
(1)理工系が有利
弁理士の有資格者の80%以上が理工系です。
申請される技術の多くがバイオテクノロジーや情報工学など、理工系の知識が必要なものが深く関係していることが要因となっています。
(2)好奇心・探求心が旺盛であること
最新技術やその発明者に接することができる、ということにワクワク感を持つことができる人に向いているでしょう。
また、日々進化していく技術についても関心を示し、常に勉強する姿勢も必要です。
(3)論理的な文章が書けること
特許庁などに書類を提出するには、詳細な資料・図面などを作成する必要があります。
技術などの内容を論理的に記述し、的確にまとめ上げる能力は必須でしょう。
(4)前向きであること
新しいことを学ぶことに抵抗がない、前向きでタフな精神が必要です。
(5)語学力があるとなおよい
海外の弁理士との交流もある弁理士は、語学力を磨いて人脈を広げることも可能です。特許の国際出願でも役立ちます。
4. 弁理士になるための試験は?合格率の分析と学習方法を紹介
弁理士になるためには、弁理士試験に合格する必要があります。
(1)受験資格
年齢・学歴・性別などの条件はありません。また、受験回数の制限もありません。
(2)試験内容
以下の試験がそれぞれ別日程で実施されます。
・短答式筆記試験(マークシート)
・論文式筆記試験(必須科目/選択科目):短答式筆記試験の合格者のみ受験可能
・口述試験:論文式筆記試験の合格者のみ受験可能
(3)合格率
ここ数年は、6~10%で推移しています。
合格者の平均受験回数は、4.5回。難関資格です。
ちなみに、司法書士の合格率は平均すると3~4%です。
(4)学習方法
ほぼ90%の人が働きながら合格を目指しています。
独学のみでの合格は厳しいため、資格専門の予備校や通信講座を利用するのが一般的です。
合格者の平均受験回数からもわかる通り、4~5年かかることを覚悟した上で長期プランを立てて勉強する必要があります。
(5)弁理士試験の免除制度
短答式筆記試験と、論文式筆記試験(必須科目)に合格した場合、合格発表の日から2年間、同試験が免除されます。
また、論文式筆記試験(選択科目)に合格した場合、同試験は永続的に免除されます。
そのため、受験する科目を絞って数年かけて合格を目指す、という人もいます。
ペーパーレス化が加速していることもあり、このようなPDFの活用方法はますます増えていくでしょう。
ここでは実際に、PDF編集ソフト「PDFelement」(PDFエレメント)の機能を使って、書類をPDF化する手順をご紹介します。
➬Microsoft Office、画像、テキストなど合計17種類のファイル形式に対応。
➬レイアウトと書式を崩さずに、各形式に合わせた高度設定も可能。
➬互換性あり!他のファイル形式からPDFまで直接作成/変換可能。
5. 弁理士の仕事に役立つツールは?
弁理士が外出するときに持ち歩く代表的なものとして、USBメモリ、ノートパソコン、条文集などがありますが、その中でも「類似商品・役務審査基準」は弁理士にとって必須といえるでしょう。
この「類似商品・役務審査基準」は特許庁から発行されており、特許庁審査において商品や役務(サービス)の類否判断をするときの手がかりとなる大事な資料になっています。
ですが、この資料はかなり重いので、顧客に対しての説明が必要な場合に限り持ち歩く、という弁理士もいます。
実際に全量をPDFでダウンロードしてみると、総ページ数は「811」ページです。空白ページも含まれていましたが、かなりのページ数です。
ここではPDFelement(PDFエレメント)を使ったオススメの活用方法をご紹介しましょう。
【手順】
あらかじめPDFをダウンロードしておいてください。
『類似商品・役務審査基準』特許庁HP>>からダウンロード可能。
【Step 1】PDFelementを起動して「類似商品・役務審査基準」を開きます。
[ファイル] > [開く] からファイルを指定するか、そのままPDFelementにファイルをドロップすると開けます。
【Step 2】[サイドバーメニュー] には、いろいろな便利機能があります。それぞれのアイコンをクリックして使ってみましょう。
① サムネイル:ページの全体像を表示
右ペインの表示倍率に関係なく、ページをスクロールしながら全体像を確認できます。
② ブックマーク:ブックマークの追加/削除
顧客への説明箇所などにブックマークを付けておけば、簡単に該当ページにジャンプできます。
◇ ブックマークを追加する
ブックマークしたいページで [追加] ボタンをクリックして、識別しやすいブックマーク名称を付けます。
◇ ブックマークの箇所に移動する
移動したいブックマークをクリックします。
◇ ブックマークを削除する
削除したいブックマークを右クリック> [ブックマークを削除] をクリックします。
③ 注釈:注釈の検索/編集/削除
メモや指摘事項などを記入した注釈(コメント)を一覧で表示します。注釈の箇所へのジャンプも可能です。
◇ 注釈の箇所に移動する
注釈をクリックします。
◇ 注釈を編集する
注釈をダブルクリックすると編集できます。
◇ 注釈を削除する
削除したい注釈を右クリック> [削除] をクリックします。
④ 添付ファイル:添付ファイルの追加/削除
関連する書類や資料などを添付できます。
◇ 添付ファイルを追加する
[クリップ+] アイコンをクリックして添付ファイルを選択します。
◇ 添付ファイルを削除する
添付ファイルを選択して [ゴミ箱] アイコンをクリックします。
⑤ 検索:文字列検索
PDFの全ページから指定の文字列を検索して、検索結果を一覧で表示します。検索結果をクリックして該当箇所にジャンプすることも可能です。
検索文字列は見やすく色付けされています。
PDFを活用すれば、重い資料を持ち歩いたり、無数の付箋紙を貼り付けて目印をつける必要もなくなりますね!
まとめ
電子書籍を利用している人は、同じような感覚でPDFを活用してみてください。ページ数の多い資料でも、全ページから検索文字列を洗い出して一覧化&ジャンプできたときの爽快感!オススメの使い方です。その1つのツールとして、「PDFelement」(PDFエレメント)を組み込んでみてはいかがでしょうか。
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