Q1. 適格請求書発行事業者の登録番号とは何ですか?
A1. 適格請求書発行事業者の登録番号は、インボイス番号とも呼ばれ、「適格請求書発行事業者」として登録されている事業者であることを証明する番号です。
Q2. インボイス制度の開始によって変わることはありますか?
A2. インボイス制度の開始により、請求書の書き方や記載しなければいけない項目などが変わります。
Q3. 適格請求書発行事業者の登録番号がないとどのような問題が発生しますか?
A3. 売り手側に適格請求書発行事業者の登録番号がなかったり、発行された請求書に登録番号が記載されていなかったりした場合、買い手の課税事業者は、消費税の仕入税額控除が受けられなくなります。
目次:
1. 適格請求書発行事業者登録番号とは
適格請求書発行事業者とは、仕入税額控除が認められる請求書を発行することができる課税事業者のことです。
この「適格請求書発行事業者」になるためには、納税地を所管する税務署長への登録申請を行い、「登録者番号」を取得する必要があります。
ここでは、適格請求書発行事業者に登録すると取得できる「適格請求書発行事業者登録番号」とはどのようなものなのかを解説していきます。
1.1 登録番号の意味
「インボイス制度」開始に伴い、事業者が消費税の仕入税控除を受けるためには「適格請求書発行事業者」としての登録が必要になりました。
「適格請求書発行事業者」として登録すると事業者ごとに「登録番号」発行され、この登録番号を持つことが、適格請求書発行事業者としての証明になります。
インボイス制度開始以降、請求書にこの「適格請求書発行事業者登録番号」が記載されていない場合、買い手は消費税の仕入税額控除を受けることができなくなります。
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1.2 登録番号の構成
発行される「適格請求書発行事業者登録番号」は、「T+13桁の数字」で構成されます。
申請時に法人番号を持つ事業者と法人番号を持たない事業者とでは、13桁の数字に次のような違いがあります。
① 法人番号を持つ課税事業者
「T」 + 13桁の数字(法人番号)
② 法人番号を持たない課税事業者(個人事業者、人格のない社団等)
「T」 + 13桁の数字(個人番号とも法人番号とも重複しない事業者ごとの番号)
1.3 登録番号の役割
「適格請求書発行事業者」が発行する請求書を「適格請求書」といいます。
インボイス制度開始以降、事業者が消費税の仕入税控除を受けるためには、売買の際に発行される請求書が「適格請求書」である必要があります。
なお、この適格請求書を「発行する側(売り手)」か「受け取る側(買い手)」かによって、「登録番号」の役割には次のような違いがあります。
① 【発行する側(売り手)】にとっての登録番号の役割
適格請求書を発行する側(売り手)にとって、登録番号は取引先に「適格請求書発行事業者」であることを証明する要素です。
適格請求書には「登録番号」を含む必要な要件がすべて記載されている必要があります。
そのため、登録番号のない請求書は、適格請求書として認められません。
② 【受け取る側(買い手)】にとっての登録番号の役割
適格請求書を受け取る側(買い手)にとって、登録番号は「仕入税額控除を受けるため」に必要な要素です。
消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書発行事業者からの仕入れである必要があります。
そのため、適格請求書が発行されない場合、消費税の仕入税額控除は認められません。
1.4 登録番号の取得方法
納税地を所轄する税務署で「適格請求書発行事業者」としての登録を行い、登録が完了すると発行されるのが「登録番号」です。
申請から登録までにはある程度時間がかかるため、早めに準備をはじめましょう。
ここでは、「郵送」で申請する方法と「e-Tax」で申請する方法の登録番号の取得までの手順をご紹介していきます。
方法①:「郵送」で申請
1)申請書を記入する
国税庁のWebサイト「[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/invoice_01.htm)から、申請書をダウンロードします。
▼国税庁のWebサイト([手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)) ダウンロードが完了したら、ファイル内の「適格請求書発行事業者の登録申請書」と「適格請求書発行事業者の登録申請書(次葉)」の2枚に必要事項を記入します。
2)提出
記入した申請書は、納税地を所轄する税務署へ郵送で提出します。
なお、所轄税務署は国税庁のWebサイト「郵送による提出先のご案内」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_yuso.htm)で調べることができます。
▼国税庁のWebサイト「郵送による提出先のご案内」 なお、郵送の場合、申請から登録番号の取得までに約3ヶ月かかります。(2023年7月13日時点)
方法②:「e-Tax」で申請
1)事前準備
「適格請求書発行事業者」としての登録申請は、「e-Taxソフト」「e-Taxソフト(WEB版)」「e-Taxソフト(SP版)」でも可能です。
ただし、「e-Taxソフト(WEB版)」を利用する場合、個人事業者は「マイナンバーカード」、法人は「商業登記認証局」が発行する電子証明書等が必要になります。
2)提出
「e-Taxソフト(WEB版)」(https://clientweb.e-tax.nta.go.jp/UF_WEB/WP000/FCSE00001/SE00S010SCR.do?shift=Invoice)では、手順に沿って必要項目を入力することで「適格請求書発行事業者の登録申請書」データを作成し、そのまま提出(送信)することができます。
▼e-Taxソフト(WEB版) なお、e-Taxでの申請から登録番号の取得までには、約1か月半かかります。(2023年7月13日時点)
1.5 登録番号の確認方法
登録番号は、申請後に送付される「登録通知書」、または、「適格請求書発行事業者公表サイト」か「法人番号公表サイト」で確認することができます。
① 登録通知書で確認
「適格請求書発行事業者」としての登録が完了すると、郵送で申請した場合は書面、e-Taxで申請した場合は電子データで「登録通知書」が送付されます。
登録通知書には、次のような内容が記載されており、登録番号の確認も可能です。
● 申請年月日
● 登録年月日
● 登録番号
● 氏名または事業者名
なお、e-Taxでは、登録通知書の内容をシステム上で1900日間確認することができます。
② 適格請求書発行事業者公表サイトで確認
国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)では、適請求書発行事業者登録を行っている事業者の情報が公表されています。
このサイトでは、登録番号から事業者の公表データを検索できるため、登録番号に誤りがないかを確認したいときなどに便利です。
なお、適格請求書発行事業者の登録番号や公表情報を一括でダウンロードすることもできます。
▼適格請求書発行事業者公表サイト
③ 法人番号公表サイトで番号を確認
国税庁の「法人番号公表サイト」(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)では、法人番号の指定を受けた法人の情報が公表されています。
このサイトでは、事業者の商号や名称、都道府県や郵便番号で法人番号が検索できるため、法人番号や登録番号を調べたいときなどに便利です。
なお、法人番号の先頭に「T」を付けた番号が適格請求書発行事業者の登録番号になります。
▼法人番号公表サイト
1.6 従来の請求書と適格請求書との違い
従来の請求書と適格請求書の最大の違いは、「適格請求書発行事業者の登録番号」と「軽減税率の対象となる品目の税率ごとの合計金額」の記載が必要になる点です。
これら2点の項目を含め、適格請求書には、次の項目が記載されている必要があります。
● 適格請求書発行事業者の名称と登録番号
● 取引年月日
● 取引内容
● 軽減税率対象品目の場合はそうであることが分かる旨の記述
● 税率ごとに区分して合計した税抜価額及び税込価額と適用税率
● 税率ごとに区分した消費税額等
● 書類を受け取る事業者の名称
さらに、適格請求書は認定された事業者しか発行できず、適格請求書のみが消費税の仕入税額控除の対象になります。
2.適格請求書に登録番号を記載する方法
インボイス制度の開始に伴い、既存の請求書は適格請求書への仕様変更が必要です。
ここでは、既に作成されている請求書に登録番号の項目をPDF編集ソフト「PDFelement」を使って追加する方法をご紹介します。
なお、PDFelementは、以下のボタンから無料でダウンロード可能です。
① 登録番号を適格請求書に記載する箇所とは
適格請求書に記載する登録番号の位置に、特に規定はありません。
ただし、登録番号は、適格請求書発行事業者名と合わせて記載するのが基本です。
例)
○○商事株式会社
登録番号:T1234567890123
② PDFelementで適格請求書用のPDFファイルに登録番号を記載する方法
適格請求書用のPDFファイルに登録番号を追加する場合には、PDF編集ソフトが必要です。
Wondersahre PDFelement(PDFエレメント)は豊富な機能を搭載するPDF編集ソフトで、既存のPDFファイルに簡単に項目を追加することができます。
まずは、「PDFelement」をダウンロードしましょう。以下のボタンをクリックしたら、PDFelementを無料で体験できます。
なお、PDFファイルに項目を追加する際は、次の手順で行います。
Step1.「登録番号」を追加するPDFファイルを開く
PDFelementを起動させて、ドラッグアンドドロップでPDFファイルを開きます。
Step2.「登録番号」を追加する
1)「編集」タブを開くと、PDFファイルが編集可能な状態になります。
2)「登録番号」を追加する位置にカーソルを置き、登録番号を入力します。
3)フォントやフォントサイズを変更したいときは、変更する文字列を選択して右クリックします。ショートカットメニューの「プロパティ」をクリックすると、「プロパティ」画面が表示され、フォントの設定が可能になります。
※登録番号は、適格請求書発行事業者名と合わせて記載します。
3.適格請求書発行事業者登録番号に関するよくある質問
ここまでは、適格請求書発行事業者登録番号の概要について、さまざまな角度から解説してきました。
ここからは、適格請求書発行事業者登録番号に関するよくある質問にお答えしていきましょう。
① 適格請求書発行事業者の登録番号は何桁ですか?適格請求書発行事業者の登録番号は、「T」+ 13桁の数字(計14文字)で構成されています。
詳しくは記事内「登録番号の構成」をご覧ください。
② 適格請求書発行事業者の登録番号の申請はいつからですか?適格請求書発行事業者の登録番号の申請は、すでに2021年10月1日から開始されています。
インボイス制度の開始日(2023年10月1日)から適格請求書を発行するためには、2023年9月30日までに登録申請を行っておく必要があります。
なお、登録番号が発行されるまでには一定の期間がかかるため、早めに申請しましょう。
③ 適格請求書発行事業者の登録番号の申請に必要となるものとは何ですか?適格請求書発行事業者の登録番号の申請に必要なものは、申請の仕方によって異なります。
詳しくは記事内「登録番号の取得方法」をご覧ください。
④ 適格請求書発行事業者の登録番号はいつから発行できますか?現在、適格請求書発行事業者の登録番号の申請から発行まで、「郵送」申請で約3ヶ月、「e-Tax」申請で約1か月半かかります。(2023年7月13日時点)
⑤ インボイスの番号はどうやって確認しますか?インボイスの番号は、次の3つの方法で確認することができます。
● 登録通知書
● 国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)
● 国税庁の「法人番号公表サイト」(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)
詳しくは記事内「登録番号の確認方法」をご覧ください。
⑥ 取引先が適格請求書発行事業者かどうか調べる方法とは何ですか?取引先が適格請求書発行事業者かどうか調べるには、次の3つの方法があります。
● 取引先に直接確認する
● 「easy Invoice Check」(https://www.transacc.jp/easy-invoice-check)などのサービスを利用する
● 国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)で調べる
なお、「適格請求書発行事業者公表サイト」では「登録番号」以外からの検索はできません。
そのため、あらかじめ国税庁の「法人番号公表サイト」(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)などで、取引先の法人番号を調べておく必要があります。
4.まとめ
今回は、適格請求書発行事業者の登録申請と番号の取得、さらには、適格請求書用のPDFファイルに取得した登録番号を記載する方法について、ご紹介してきました。
いよいよ、2023年10月から開始されるインボイス制度。
適格請求書発行事業者として登録されていない場合、既存のお客様を含め、取引先に負担を負わせることになります。
取引先が消費税の仕入税額控除を受けられるよう、正しい「適格請求書」を発行するためにも、適格請求書発行事業者としての登録申請から番号の取得、さらには、適格請求書への仕様の変更作業など、十分な事前準備が必要です。
豊富な機能を搭載したPDF編集ソフト「PDFelement」は、普段の資料作成から適格請求書へのフォーマットの変更まで、PDFファイルを効率的に編集することができます。
今後の仕様変更に素早く対応するためにも、是非、PDFelementの導入を検討してみてください。
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