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インボイス制度による領収書の変更点と、電子文書に保存方法を徹底解説

はじめに

Q1:インボイス制度によって、領収書やレシートの取り扱いは変わりますか?

A1:インボイス制度が開始されると、領収書やレシートも消費税の仕入税額控除の申請のための重要なインボイス(適格請求書・適格簡易請求書)として扱われます。ただし、インボイスとして認められるためには、決められた項目がすべて記載されている必要があります。

Q2:インボイス制度に対応するための領収書やレシートの書き方はありますか?

A2:インボイス制度では、領収書やレシートに決められた項目がすべて記載されることが求められます。ただし、決められた書式やフォーマットはありません。なお、必要な項目が記載されていれば、手書きでも問題ありません。

目次:


1. インボイス制度開始による領収書の変更点と書き方とは

インボイス制度とは、新しい消費税の仕入税額控除の方式として、これまで請求書や領収書で必要とされていた記載事項に加え、「登録番号」や「税率・税額」などが記載された「適格請求書(インボイス)」の発行を義務付ける制度です。
これにより、複数税率のために曖昧になっていた項目ごとの消費税率や消費税額が明確化されます。
インボイス制度開始によって発生する領収書発行における変更点は、次のとおりです。

・発行する領収書への記載事項の追加
・仕入税額控除を受ける場合は3万円未満の領収書も保存が必要
・消費税の端数処理は1つのインボイスにつき税率ごとに1回まで

発行する領収書に記載する事項の追加

領収書には、インボイス制度で定められたすべての項目の記載が必要です。インボイス制度で定められた記載事項には、次の6項目があります。

a. 適格請求書発行事業者の名称と登録番号
b. 取引年月日
c. 取引内容(軽減税率対象品目の場合はそうであることが分かる旨の記述)
d. 税率ごとに区分して合計した税抜額及び税込額と適用税率
e. 税率ごとに区分した消費税額等
f. 書類を受け取る事業者の名称

▼適格請求書(領収書)

インボイス 領収書
必要な記載事項は、手書きの領収書の場合でも同じです。
なお、手書きの領収書の場合は、以下の点に注意して発行しましょう。

・但書には軽減税率対象品目かどうかが分かる記載が必要(「お品代として」は不可)
・書類を受け取る事業者の名称(宛名)の空白・「上様」は「不特定多数の顧客に向けて売買を行う事業者」のみ可

▼適格簡易請求書(手書き領収書)の例    

インボイス 領収書
ただし、「飲食業」「小売業」「写真業」「旅行業」「タクシー業」「駐車場業」「その他これらの事業に準ずる事業」の7業態は「不特定多数の顧客に向けて売買を行う事業者」として、次のような記載事項が簡易化された「適格簡易請求書」(いわゆる「レシート」)の発行が認められています。

a. 適格請求書発行事業者の名称と登録番号
b. 取引年月日
c. 取引内容(軽減税率対象品目の場合はそうであることが分かる旨の記述)
d. 税率ごとに区分して合計した税抜額または税込額
e. 適用税率または税率ごとに区分した消費税額等

▼適格簡易請求書(レシート)の例

インボイス 領収書

仕入税額控除を受ける場合は3万円未満の領収書も保存

これまでは、「税込みの支払額が30,000円未満の場合には、請求書等の保存を要せず、法定事項が記載された帳簿の保存のみでよい」(国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm)という特例的な扱いが認められていました。
インボイス制度開始以降この扱いが変更され、次の2つの場合に限り認められることになります。

・公共交通機関による旅客の運送(公共交通機関特例)
・自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入(自動販売機特例)

消費税の端数処理は1インボイスにつき税率ごとに1回

消費税を計算する際、1円未満の端数が生じることがあります。
これまでは、請求書や領収書で発生する消費税の端数処理の仕方に明確なルールはなく、まとめて端数処理したり、商品ごとに端数処理したりするなど、事業者によって異なっていました。
しかしながら、インボイス制度では、「1インボイスにつき、税率ごとに1回の端数処理を行う」ということがルール化されたため、そのルールに従った処理をしなければいけません。
なお、端数処理の方法(切り上げ、切り捨て、四捨五入など)は、事業者の選択にゆだねられています。


2. インボイス制度対応の領収書、発行事業者の対応

領収書の発行事業者(売り手)は「適格請求書発行事業者」としての登録を行い、登録番号を取得する必要があります。
そのうえで、適格請求書発行事業者は、取引先の課税事業者に対して、この登録番号等が記載されたインボイス(「適格請求書」または「適格簡易請求書」)を発行します。
また、発行したインボイスの写しを7年間保存する義務があり、その保存方法についての検討も必要です。
これらをふまえ、発行事業者が行うべきことは、次のとおりです。

・適格請求書発行事業者の登録番号の取得
・インボイス制度に対応したインボイス(請求書・領収書等)のフォーマットの検討
・インボイスの発行方法の検討
・発行したインボイスの保存方法の検討
・システムの変更・改修と社員への周知

このように、インボイス制度が開始されることにより、事業者はインボイスの「発行」と「保存」についての検討と対応が必要になります。


3. インボイス制度対応の領収書、受取側の対応

「受領した領収書がインボイス制度に対応していなかった」とか「保存すべきインボイスを誤って破棄してしまった」というような場合、仕入税額控除が受けられなくなるだけでなく、税の申告漏れにつながる恐れがあります。
そのため、領収書の受取側の事業者(買い手)は、受領した領収書が「インボイス」であるかどうかを確認しなければいけません。
そのうえで、受領したインボイスを7年間の保存する義務も発生します。
さらに、2024年1月1日以降は、受領した領収書が電子データの場合、「改正電子帳簿保存法」の規定に従い、電子データで保存することが義務付けられます。
これらをふまえ、受取側の事業者が行うべきことは、次のとおりです。

・インボイスかどうかの確認方法の検討
・取引先ごとにインボイス発行方法の確認
・受領したインボイスの保存方法の検討
・システムの変更・改修と社員への周知

このように、インボイス制度が開始されることにより、受取側はインボイスの「確認」と「保存」についての検討と対応が必要になります。


4.インボイス制度における領収書の役割とは

領収書は、売り手側と買い手側の間で金銭のやり取りがあったことを証明するための重要な書類です。
さらに、インボイス制度において、領収書は「消費税の仕入税額控除」を受けるために必要な書類の1つでもあります。
そのため、領収書はインボイス制度のルールに従って発行する必要があり、万が一、必要事項が記載されていないといった不備がある場合「領収書として認められない」ということになります。
なお、その結果、仕入税額控除が受けられなくなるのは「買い手側」です。
インボイス制度に対応した領収書が発行できない場合は、今後の取引への影響も考えられるでしょう。


5.インボイス制度対応の領収書は電子文書で保存するのがおすすめ

近年、電子データでの書類のやり取りが急激に増加し、「紙」と「電子データ」という2種類の書類が混在している、という事業者も多いでしょう。
もちろん、それぞれ別々の方法で保存することも可能ですが、インボイス制度が開始されると、発行者側も受領者側も領収書等を7年間の保存する義務が発生します。
さらに、税務署等から領収書等の提出を求められた場合は、速やかに提示しなければならず、保存方法が複数ある状況は、混乱を招きかねません。

なお、インボイス制度下では、紙で受領した領収書をスキャンして電子文書化したり、写真を撮って画像データ化したりして保存することが可能になります。
紙の書類をデータ化すれば、書類を印刷して保存する際の「印刷コスト」や「保存場所」への負担や保存方法の混在化が解消されるだけでなく、必要な書類の検索効率が良くなるというメリットもあります。
特に、電子化したデータの管理をしやすくするためには、高機能なPDF編集ソフトなどを導入すると便利です。

たとえば「PDFelement」は、データ化した書類を1つのファイルとしてまとめて保存したり、ファイルサイズを圧縮したり、スキャンしたPDFや画像からテキストを認識したりといった書類の保存や管理、検索を効率的に行う機能が豊富に搭載されています。

なお、PDFelementは、次のアイコンから無料でダウンロードすることが可能です。

pdfelement インボイス 領収書

領収書は電子文書で保存する場合に有効なPDFelementの機能には、次のようなものがあります。

機能 概要
編集 テキスト・画像・写真・図形を自由に追加して文書化することが可能
変換 PDF→画像など異なるファイル形式への変換が可能
整理  PDFのページの結合・分割・回転やファイルの圧縮が可能
OCR スキャンしたPDFや画像内のテキストの認識や検索が可能
注釈 メモやコメントの追加が可能
保護  電子署名やパスワードの設定が可能

ここでは、領収書を電子文書として保存する際の便利な機能をご紹介します。

●「一括処理」機能

PDFelementの「一括処理」機能では、異なるファイル形式のデータを一括でPDFに変換したり、一括で印刷処理を行ったりすることが可能です。
ここでは、画像ファイルをPDFに変換します。

Step1. PDFelementを起動し、「作成」画面を開く
1)PDFelementを起動させて、「一括処理」をクリックします。
2)「作成」クリックして、「作成」画面を開きます。

Step2.複数のファイルを選択し、まとめてPDFに変換する
1)PDFに変換したいファイルをドラッグアンドドロップで追加して、「適用」をクリックします。
2)指定したフォルダーにPDFファイルとして保存されます。

インボイス 領収書

●「PDF結合」機能

同日に発行された複数の紙の領収書をまとめて整理したいときには、PDFelementの「PDF結合」機能を使うと便利です。

Step1. PDFelementを起動し、「PDFを結合」画面を開く
1)PDFelementを起動させて、「PDF結合」をクリックします。

Step2. 複数のファイルを選択し、1つのPDFファイルとして保存する
1)まとめて保存したいファイルをドラッグアンドドロップで追加して、「適用」をクリックします。
2)指定したフォルダーに1つのPDFファイルとして保存されます。

インボイス 領収書

●「ブックマーク」機能

複数の領収書をまとめて管理しているファイル内を分別して検索しやすくしたいときは、PDFelementの「ブックマーク」機能を使うと便利です。

Step1. 適格請求書を管理しているPDFファイルを開く
1)PDFelementを起動させて、ドラッグアンドドロップでPDFファイルを開きます。
2)「ブックマーク」をクリックします。

Step2.適格請求書を選択してブックマークを追加する
1)適格請求書をクリックして選択し、「ブックマークを追加」をクリックします。
2)ブックマーク名を入力して、Enterキーを押します。
3)ブックマーク名をクリックすると、目的の適格請求書が表示されます。

インボイス 領収書


6.インボイス制度における領収書に関するよくある質問

ここまでは、インボイス制度での領収書に関する変更点と、電子文書に保存方法について解説してきました。
ここからは、インボイス制度における領収書に関するよくある質問にお答えしていきましょう。

Q1:領収書とレシートにはどのような違いがありますか?
インボイス制度では「領収書」も「レシート」もインボイスとして扱われ、その効力に違いはありません。
とはいえ、レシートは、会計時にその場で機械的に発行されるもののため、誤りや不正が起きにくい反面、領収書は改めて作成されるもののため、発行者も受領者も十分なチェックが必要です。

Q2:領収書は必ず発行しなければいけないものですか?
インボイス制度開始後は、3万円未満の取引であっても、領収書やレシートなどがなければ、仕入税額控除が受けられなくなります。
ただし、「公共交通機関による旅客の運送費(切符や乗車運賃など)」や「自動販売機及び自動サービス機から購入した商品代金」などについては、領収書の発行や保存の義務はありません。

Q3:領収書だけで仕入税額控除の申請は可能ですか?
インボイス制度では、領収書やレシートもインボイス(または、簡易インボイス)として認められます。
これまでは、仕入税額控除を申請するのに「領収書(レシート)」とともに「請求書」の提出も必要でしたが、インボイス制度開始以降は、領収書のみで申請できるようになります。

Q4:手書きの領収書もインボイスとして認められますか?
「インボイス」や「簡易インボイス」として必要な事項が記載されている「手書きの領収書」であれば、インボイスとして認められます。
詳しくは記事内「インボイス制度開始による領収書の変更点と書き方とは」をご覧ください。


まとめ

今回は、インボイス制度による領収書の変更点を開設するとともに、領収書の保存方法についてもご紹介していきました。
インボイス制度においては、領収書やレシートも消費税の仕入税額控除の申請のための重要な書類となり、さらには、7年間の保存が義務付けられます。そのため、領収書やレシートを発行する側も受領する側も、その領収書が「インボイスとして正しいものか」を十分に確認したうえで、適切に保存することが求められます。
特に、レシートを紙の状態で保存するとなると、保管場所の確保が必要なだけでなく、レシートそのものが劣化してしまう可能性も考えなければいけません。
さまざまな書類が電子データでやり取りされるようになった今、紙のレシートも電子化することで一貫した管理ができるようにすることをおすすめします。そのようなときに役立つのが、「PDFelement」のようなPDFデータも画像データも扱える高機能なPDF編集ソフトです。
PDFelementは、電子と紙の両方が混在するインボイスの管理の効率化を可能にします。もちろん、インボイスの作成も得意です。是非、インボイス制度への対応にPDFelementの導入を検討してみてください。

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作成日: 2023-08-15 13:55:08 / 更新日: 2023-12-06 11:16:21

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星野

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