確定申告とは、前年の1月1日~12月31日までの所得に対する税金を計算して確定し、3月に税務署に申告する手続きです。なお、2023年の確定申告では、税制改定等に伴い、いくつか変更点があります。この変更に伴い、書類の統一化が実施されるなど、確定申告が全体的に簡素化されます。
また、書類だけでなく、パソコンやスマホを使った申告もしやすくなったことから、申告作業そのもの時間や労力の削減が期待できます。
今回は、2023年3月15日が期限の申告における変更点のなかから、主に確定申告書類に関する変更点について、また、確定申告の概要についてもご紹介してきます。
目次:
1.2023年確定申告書類の3つの変更点とは何か
2023年の確定申告から、確定申告書類の内容が一部変更されます。今回の変更では、書式が一本化されるなど、書類の作成や確認作業の簡素化が期待できます。
なお、確定申告種類の大きな変更には、次の3点があります。
ここでは、この3つの変更点について解説していきましょう。
1)申告書Aは廃止される
2023年3月15日が申告期限の確定申告(令和4年分)から、これまで使用されていた2種類の申告書類(「確定申告書A」・「確定申告書B」)のうち、確定申告書Aの書式が廃止されます。
確定申告書Aは、そもそも確定申告書Bの簡易版のような位置づけで、会社員や年金受給者が、住宅ローン控除や医療費控除などを目的に確定申告を行う際に使用される書式でした。しかし、2023年以降は、このような対象者も一本化された「確定申告書」を使用することになります。
この申告書の統一化により、申告処理の簡素化が期待できます。
2)第1表に「修正申告」欄を記載
2023年3月申告の変更では、「修正申告書(別表)第5表」が廃止され、確定申告書B「第1表」に「修正申告」欄が追加されます。修正申告とは、確定申告で本来の納税額より少ない税額で申告した場合に、修正し、後から再申告することをいいます。
これまでは、修正申告を行う際、次の2種類の書類の提出が必要でした。
- 修正申告書第5表(別表):修正前の所得・税額、修正によって発生する税額などを記載
- 確定申告書B第1表:修正後の所得・税額を記載
しかし、2023年以降は、修正申告書第5表(別表)が廃止され、確定申告書B第1表のみを提出することになります。この修正申告書の統一化によっても、申告処理の簡素化が期待できるといえるでしょう。
▲確定申告書第1表(令和3年分以前)
▲修正申告書第5表(修正申告用・別表)
出典:申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm)
▲確定申告書第1表(令和4年分以降用)
出典:申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm)
▲確定申告書第1表(令和4年分以降用)
3)収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応
2023年3月申告からの変更により、収支内訳書に「雑所得」を記載する欄が追加されます。
収支内訳書とは、白色申告で申告を行う際に確定申告書Bともに提出する「必要経費などを勘定科目ごとに集計」したものです。これまでは、指定されている9の所得区分(利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得)について、収支内訳書に記載し、申告していました。
これらに加え、2023年の申告からは、前々年度の雑所得での売上高が1,000万円を超えていた場合、この雑所得についても収支内訳書にて申告することになります。
なお、雑所得には、次のようなものがあります。
- 公的年金等:国民年金や厚生年金、確定給付企業年金など、公的年金による収入
- 非営業用貸金の利子:個人で貸したお金に対して受け取った利子
- 副業に係る所得:副業(原稿料や講演料など)で得た収入
▲収支内訳書(一般用)(令和2年分以降用)
出典:申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm)
▲収支内訳書(一般用)(令和4年分以降用)
出典:申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm)
▲収支内訳書(一般用)(令和4年分以降用)
この変更は、これまで課税されていなかった可能性のある所得に対応した変更といえるでしょう。
2.確定申告はいつまで
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対する税金を計算し、税務署に申告する手続です。確定申告には、医療費や住宅ローンなど控除により税金が戻る「還付申告」と一定の所得に対し収める税金を申告する、という2つの目的があります。
ここでは、令和4年の所得に対する確定申告について、ご紹介していきます。
1)申告の提出形式
確定申告では、手書きした書類を郵送または税務署に持参したり、パソコンやスマホで作成したデータをそのまま送信したりするなど、申告書類の作成方法や提出形式を選択することができます。
ここでは、2種類の申告書類の提出形式について、ご紹介します。
①書類
申告書類を手書きで作成する場合は、次のいずれかの方法で書類を入手します。
- 最寄りの税務署に取りに行く
- 国税庁Webサイト「申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)」からダウンロードして印刷
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