デザインファイルを納品・共有する際、クライアントや制作チームによってフォントが勝手に変更されてしまい、せっかく作ったデザインが台無しになってしまった経験はありませんか?

この記事では、デザインデータ保護とテキスト固定を実現する2つの確実な方法をご紹介します。


デザインデータを守るべき理由

デザインデータ保護は、単なる技術的な問題ではなく、デザイナーとしてのプロフェッショナリズムに直結する重要な課題です。デザインデータを適切に保護することで、以下のような効果が期待できます:

  • デザインの完成度維持:意図したフォント、レイアウト、配色を確実に再現
  • ブランドイメージの統一:企業のアイデンティティを正確に表現
  • 制作効率の向上:修正作業やトラブル対応の時間を削減
  • クライアントとの信頼関係構築:プロフェッショナルな印象を与える
  • 著作権の保護:デザイナーの知的財産を守る

これらの理由から、デザインデータの保護は現代のデザイナーにとって必須スキルといえるでしょう。


フォントが勝手に変更される主な原因

フォントが意図せず変更されてしまう背景には、いくつかの技術的・環境的要因があります。主な原因として以下の点が挙げられます。

  • フォント環境の違い:受け手のPCに該当フォントがインストールされていない
  • フォントライセンス問題:商用フォントの使用権限がない環境での閲覧
  • ソフトウェアのバージョン違い:異なるバージョン間での互換性問題
  • OSの違い:Windows、Mac間でのフォント表示の差異
  • 文字エンコーディングの問題:特殊文字や記号の表示エラー
  • 埋め込み設定の不備:フォント情報が適切に埋め込まれていない

これらの問題を解決するためには、受け手の環境に依存しない形でデザインデータを準備することが重要です。


フォントを変更されないようにする2つの方法

ここでは、PDFelementを使用したテキスト 固定の具体的な方法を2つご紹介します。どちらも効果的なデザインデータ 保護手法です。

(1) PDF上の文字をアウトライン化する

アウトライン化は、テキスト情報をベクターグラフィックに変換することで、フォント環境に依存しない表示を実現する方法です。PDFelementでのアウトライン化手順は以下の通りです:

 手順① PDFファイルの読み込み:対象のPDFファイルを開き、ファイルが正常に読み込まれることを確認

 手順② アウトライン化の実行:メニューバーの「ツール」タブをクリックし、「その他」の「アウトラインを作成」を選択すると、アウトライン化されたシートが作成される

 手順③ 結果の確認と保存:アウトライン化の結果を目視確認し、「名前を付けて保存」で新しいファイルとして保存

PDF上の文字をアウトライン化する

アウトライン化により、テキストは完全に図形として扱われるため、どのような環境でも同じ表示が保証されます。

(2) 編集制限付きパスワードを設定する

パスワード保護は、ファイル自体の編集を制限することで、意図しない変更を防ぐ方法です。PDFelementでの編集制限設定手順は以下の通りです:

 手順① セキュリティ設定を開く:「保護」タブを選択し、「暗号化」をクリック

 手順② 権限パスワードの設定:「権限パスワードで制限」にチェックし、強固なパスワードを入力

 手順③ 編集制限の詳細設定

  ・「印刷許可」:必要に応じて設定

  ・「変更許可」:「変更不可」を選択

  ・「テキストや画像、その他のコンテンツのコピーを許可します」のチェックを外す

 手順④ 設定の適用と保存:「保存」をクリックして設定を適用し、ファイルを保存

編集制限付きパスワードを設定する

この方法により、パスワードを知らない人はファイルの編集ができなくなり、デザインの完全性が保たれます。


応用編:安全にデザインデータを共有するコツ

より確実なデザインデータ 保護を実現するための、実践的なテクニックをご紹介します。

(1) 元データの取り扱い

安全な共有のための基本原則は以下の通りです。

 ・AI・PSDファイルは直接渡さない:編集可能な元データの提供は避ける

 ・複数形式での納品:PDF、PNG、JPEGなど複数の形式で提供

 ・解像度の使い分け:用途に応じて適切な解像度で書き出し

 ・カラープロファイルの統一:印刷・Web用途に応じた色設定

(2) 画像化による保護

確実なテキスト 固定を実現する方法として、画像化も効果的です。

 ・高解像度PNG出力:透明背景が必要な場合に最適

PDFを画像に変換する

 ・JPEG圧縮設定:ファイルサイズと画質のバランスを調整

 ・SVG形式の活用:ベクターデータとして品質を保持

SVG形式の活用

 ・レイヤー別出力:パーツごとに分けて納品

(3) バージョン管理対策

異なる環境での表示崩れを防ぐための対策も重要です。

 ・フォントリストの提供:使用フォントの一覧を文書で添付

 ・代替フォント指定:システムフォントでの代替案を準備

 ・プレビュー画像の添付:正しい表示状態の参考資料を提供

 ・環境確認の実施:納品前に受け手の環境での表示確認

これらの対策を組み合わせることで、デザインデータ 保護の確実性が大幅に向上します。

5. よくある質問と回答

デザインデータ 保護やテキスト 固定に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

  • Q:日本語フォントでもアウトライン化は有効ですか?
    A:はい、日本語フォント(ひらがな、カタカナ、漢字)でも同様にアウトライン化が可能です。特に商用日本語フォントを使用している場合、アウトライン化による保護効果は高くなります。
  • Q:パスワード保護したPDFを受け取った側は何ができますか?
    A:閲覧パスワードのみの場合は表示・印刷が可能ですが、権限パスワードで編集制限をかけている場合は、テキストや画像のコピー、注釈の追加なども制限されます。
  • Q:スマートフォンやタブレットでもアウトライン化したPDFは正しく表示されますか?
    A:はい、アウトライン化したテキストはデバイスやOSに関係なく同じように表示されます。フォント依存がないため、モバイル環境でも安定した表示が可能です。
  • Q:既存のPDFに、アウトライン化されていないテキストが含まれているか確認する方法はありますか?
    A:PDFelementの「ファイル」→「プロパティ」→「フォント」タブで使用されているフォント一覧を確認できます。フォントが表示される場合はアウトライン化されていません。
    アウトライン化されていないテキストが含まれているか確認する
  • Q:アウトライン化とパスワード保護はどちらを優先すべきですか?
    A:用途によって使い分けることを推奨します。完全な表示保証が必要な場合はアウトライン化、編集権限の管理が重要な場合はパスワード保護を選択してください。最高のセキュリティを求める場合は両方の併用も効果的です。

まとめ

デザインデータ 保護は、現代のデザイナーにとって必須のスキルです。PDFelementを活用したアウトライン化と編集制限により、フォントの勝手な変更を確実に防ぐことができます。テキスト 固定の技術を身につけることで、あなたのデザインは常に意図した通りに表示され、クライアントからの信頼も向上するでしょう。

星野
星野 更新日: 2025-06-12 16:05:26