はじめに
「Adobe IllustratorやAdobe InDesignで作成したデータを印刷業者に渡そうとしてPDFに変換すると、文字が消えてしまった!」そんな経験はありませんか? その原因は、単にレイヤーの設定だけではなく、フォントの埋め込みやフォントの登録、各ソフトのバージョンなど多岐にわたります。
そこで以下では、IllustratorやInDesignで作成したデザインデータをPDF化すると文字が消える原因と対処法等について解説します。
目次:
1. IllustratorやInDesignで作成したデザインデータをPDF化すると文字が消える原因と対処法は
IllustratorやInDesignでPDFに変換する際に文字が消える問題の一般的な原因と対処法は以下の通りです。
(1) テキストレイヤーの可視性
文字が消えている場合、他のレイヤーとの重なりや非表示の設定が原因であることがあります。対処法として、IllustratorやInDesignでレイヤーパネルを確認し、文字や関連するオブジェクトが正しいレイヤーに存在しているか、表示されているかを確認します。また、一部のPDFリーダーにはレイヤー可視性の設定があるので、そちらも確認する必要があります。
【Illustrator】
【Acrobat Reader】
(2)オブジェクトの相対位置
文字が他のオブジェクトに隠れている場合、オブジェクトの重なりや配置に問題がある可能性があります。IllustratorやInDesignでオブジェクトの重なりや位置を調整し、文字が適切に表示されるようにしてみましょう。
(3)印刷範囲の確認
IllustratorやInDesignで印刷範囲が不正確に設定されている場合、PDFに変換する際に文字が切れることがあります。印刷範囲を確認して、必要に応じて調整してみてください。
(4)文字のアウトライン化
フォントをアウトライン化すると、文字がベクターグラフィックスとしてPDFに組み込まれます。これにより、フォントの埋め込みやフォントの不足による問題を回避できます。ただし、アウトライン化すると、文字を編集することができなくなるので、注意が必要です。
(4-1)Illustratorでのアウトライン化
テキストを選択し、オブジェクトメニューから「アウトラインを作成」を選択します。または、ショートカットキー「Ctrl + Shift + O」(Windows)または「Cmd + Shift + O」(Mac)を使用します。
【Illustrator】
(4-2)InDesignでのアウトライン化
テキストを選択し、オブジェクトメニューから「コンテンツのアウトライン化」を選択します。または、ショートカットキー「Ctrl + Shift + O」(Windows)または「Cmd + Shift + O」(Mac)を使用します。
(5)コンピュータにフォントがインストールされていない
フォントが正しく表示されない場合、閲覧環境にフォントがインストールされていない可能性があります。この場合、フォントをインストールすることで問題を解決できます。
フォントをインストールするには、フォントのファイル(通常は.ttfや.otf形式)をコンピュータにダウンロードし、インストールします。オペレーティングシステムや使用しているソフトウェアによって手順が異ります。
(6)テキストのエンコーディング
テキストに使用されているエンコーディングが正しく設定されていない場合、文字が正しく表示されないことがあります。テキストのエンコーディングを確認し、正しいエンコーディングを選択します。
(7)画像解像度の確認
文字が画像に含まれている場合、画像の解像度が低すぎると文字が不明瞭になる可能性があります。適切な解像度で画像を使用しているか確認してください。
(8)複雑なエフェクトやトランスペアレンシー
複雑なエフェクトやトランスペアレンシーが含まれている場合、これが文字の表示に影響を与えることがあります。エフェクトを削除するか、トランスペアレンシーの設定を調整してみてください。
(9)アップデートの確認
Illustrator/InDsignや関連するソフトウェアが最新のバージョンにアップデートされていることを確認しましょう。ソフトウェアのバグが修正され、新しいバージョンがリリースされている場合があります。
「ヘルプ」→「〇〇について」をクリックすれば現在のバージョンが確認でき、「アップデート」をクリックすればアップデートされます。
【Illustrator】
【Acrobat Reader】
(10)システムのメモリ不足
システムのメモリが不足している場合、PDF変換時に問題が生じる可能性があります。他のプログラムを終了し、メモリを解放してから再度変換を試してみてください。
(11)セキュリティソフトの影響
セキュリティソフトウェアがPDF生成を妨げている可能性があります。一時的にセキュリティソフトを無効にして、変換を試してみてください。ただし、その後有効にすることを忘れないようにしましょう。
(12)PDFファイルの破損
変換したPDFファイル自体が破損している場合、文字が消えることがあります。別のファイルで同じ問題が発生するかどうかを確認し、必要に応じて元のデータを再変換するか、Wondershare Repairit などの修復ソフトでPDFを修復してみましょう。
【Wondershare Repairit】
2. IllustratorやInDesignで作成したデザインデータについてよくある質問
IllustratorやInDesignで作成したデザインデータの、PDF変換に関するよくある質問と回答を以下に示します。
Q: PDFファイルのサイズが大きくなりすぎることがあります。どうすれば解決できますか?
A:PDFファイルのサイズを縮小するためには、以下の方法があります。
・ 画像の解像度を下げる
・不要なレイヤーやオブジェクトを削除する
・ 圧縮オプションを使用する
・カラーモードを減色する(例: CMYKからRGBに変換する)
Q: PDF変換時、デザインに使用した画像を埋め込むかリンクするか、どちらが良いですか?
A: ファイルサイズや編集のニーズによります。画像のサイズや数が多い場合は、リンクすることをおすすめしますが、リンクされた画像を共有する際には、画像ファイルも一緒に提供する必要があります。
Q:PDF変換時にパスワードを設定する方法は?
A:出力オプションで「セキュリティ」を選択し、そこでパスワードを設定してPDFの開封や編集、印刷、コピーなどの操作を制限することができます。
Q: ベクターグラフィックスとラスターグラフィックスのPDF化での取り扱いの違いは?
A: ベクターグラフィックスはPDFで保存するとベクター形式が維持され、解像度に依存せず拡大縮小可能が可能です。ラスターグラフィックスは解像度が重要になるので、PDFで埋め込まれる際に解像度を設定します。
Q: PDF変換時に透明効果や効果フィルターの取り扱いは?
A: 透明効果や効果フィルターはPDFでサポートされますが、プリンタの仕様によっては正しく表示されないことがあるため、事前に確認が必要です。
Q: PDF変換時にグレースケールやモノクロでの出力の設定方法は?
A: ドキュメントのカラーモードをグレースケールに変更するか、PDF設定でモノクロ出力オプションを選択します。
Q: フォームやリンクを含む対話的なPDFを作成する方法は?
A: InDesignで対話的な要素を作成し、PDFエクスポート時に対話的な要素を含むPDFを作成します。リンクは正しい相対パスで設定します。
Q: ページのサイズを変更したいのですが、どのようにすれば良いですか?
A:「ファイル」→「ドキュメントの設定」を選択し、新しいページサイズを指定して変更できます。
まとめ
ここでは、Adobe IllustratorやInDesignで作成したデザインデータをPDF化すると文字が消える原因と対処法等について説明しました。その原因は多岐にわたり、対処法も様々です。そのうち簡単にできるのはレイヤーとフォントの確認、それに各ソフトのバージョンの確認とアップデートです。
オールインワンPDF編集ソフトWondershare PDFelementのレイヤーは全選択で、また、アップデートは頻繁に行われています。試用版は無期限に使えるので、是非その使い易さをお試しください。
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