はじめに
扶養控除とは、世帯に扶養控除対象となる親族がいる場合に、一定の税額から控除が受けられる制度です。
扶養控除を申告すると、税金の負担の軽減や健康保険料の節約などさまざまなメリットがあります。
しかし、扶養控除には103万円の壁や配偶者以外の親族などによって受けられる条件が異なります。
本記事では、扶養控除の意味と扶養親族の条件、103万円の壁などについて詳しくご紹介していきます。
目次:
1.扶養控除とは?103万円の壁とは?
扶養控除とは、日本の所得税制度において、納税者が扶養している家族の人数や収入に基づいて所得税を軽減する制度です。
扶養とは、家族の生計を主に担っている方が親や配偶者、子どもなどの家庭を経済的に支えることをいいます。
納税者が子供や親などの条件を満たす親族を養っている場合、所得金額から一定の税額を控除する仕組みです。
しかし、扶養控除は誰でも対象になれる訳ではなく、扶養される親族や子どもの年収が103万円以下の場合が対象になります。
年収が103万円を超えてしまうと、扶養から外れてボーダーラインを超えた部分に対し5~45%の所得税と2.1%に相当する復興所得税がかかります。
・103万円の壁とは
一方、103万円以下の壁とは、納税者自身の収入と扶養控除対象者の収入合計が103万円以下の場合、所得税額が大幅に減少することを指します。
103万円の壁を下回る範囲では、所得税が軽減されるため、税金の負担が軽くなるのが特徴です。
例えば、アルバイトやパートで家族の扶養に入っている方は所得税が課税され始めるため、
103万円を超えると扶養から外れ、親などの扶養者の所得税と住民税が増える仕組みとなります。
年収が103万円以下だった場合、所得税がかからないのですが、103万円を超えると、超えた分を自分で確定申告をする必要があります。
2.扶養親族の条件とは?配偶者控除との違いも紹介
扶養親族とは、一家世帯で納税者に扶養されている親族のことです。
扶養親族を受けられる条件は以下の通り記載します。
・生計を同一とする家族
・所得金額が48万円以下であること
・子ども・兄弟姉妹は16歳以上であること
・配偶者以外の家族であること
・親は65歳以上であること
これらの条件を満たす家族が扶養親族の対象となり、所得税の扶養控除が受けられます。
扶養控除を受ける際、親族と必ずしも同居している必要はありません。
子どもが大学進学などで一人暮らしをしている場合でも、生計を一にしていれば扶養親族に該当します。
ここからは、扶養親族の条件と配偶者控除についてご紹介していきます。
・納税者と生計を一にしていること生計を同一とする家族
扶養控除の条件で生計を同一とする家族とは、生計を共にしている家族のことです。
税法上の生計を同一にする家族には、生活上で納税者と財布が同じであれば同居または別居していても問われません。
例えば、同棲や自立した子供が別世帯で生活している場合が扶養親族を受けられる条件となります。
特に自立した子供が別世帯で暮らしている具体例は、子供が進学や就職をして別世帯となり、仕送りも受けずに暮らしているケースがその一つです。
・所得金額が48万円以下であること
扶養親族が受けられる条件として、年間の合計所得金額が48万円以下だと扶養が受けられることです。
税法上の一つとして、扶養に入る人の合計所得金額が48万円以下の場合は、扶養の範囲内として定められています。
アルバイトやパートなどの給与所得者は、「収入金額ー給与所得控除(55万円)」で計算し、103万円以下が扶養親族となります。
例えば、年収103万円であれば「103万円ー50万円=38万円」で48万円以下となるので扶養親族の対象です。
103万円以下だと所得税がかからない理由は、給与収入から控除される金額が103万円と決まっているからです。
アルバイトやパートなどで生計を立てる際、所得金額が48万円を超えると、扶養から外れてしまうので収入面を日々チェックするようにしましょう。
・子ども・兄弟姉妹は16歳以上であること
扶養控除が受けられる条件の一つが、子供・兄弟姉妹の年齢が16歳以上であることです。
平成23年に児童手当を出す代わりに15歳以上の子供には、扶養控除が廃止になりました。
したがって15歳以下の子供には扶養控除ではなく、児童手当の対象となります。子供が扶養に入れる年齢が16歳以上であるため、年齢要件に注意することが大切です。
・配偶者控除との違い
配偶者控除とは、納税者が結婚している場合、配偶者の所得が一定の城乾を満たす場合に適用される制度です。
配偶者控除と扶養控除の違いは、納税者が養っている配偶者か親族かにあることです。配偶者控除が控除される所得金額は、1,000万円以下の場合に適用されます。
一方、扶養控除は納税者の所得制限がなく、控除対象扶養親族がいれば扶養控除に申告ができます。
配偶者控除が適用されると、配偶者本人の収入に103万円まで所得税がかからなくなり、38万円の控除を受けることが可能です。
3.扶養控除の範囲外の負担
扶養控除は納税者の年収が103万円以下であれば、所得税などを節税できる半面、自分の年収が103万円を超えると、親の扶養控除は適用されなくなります。
親の所得が増えることに伴い、親が負担する所得税や住民税も増えてしまうのがデメリットです。
扶養控除の範囲外の負担について詳しくご紹介していきます。
・条件に合った勤務先が限られるケースがある
扶養控除は年収が103万円以上稼ぎたい場合、扶養内で働く以上、シフトに入れる数も制限されるケースがあります。仕事選びで待遇や給与条件がいい職種に就きたい際に毎月の収入を日々チェックしないといけません。年収が103万円に達するのは、毎月の収入が約8万6,000円になる場合です。扶養控除の範囲内の収入で仕事を探すのであれば、この金額を超えないようにシフトを組める企業に勤めることが大切です。
・所得税や住民税を支払わなければならない
扶養控除の適用外になると、所得税や住民税などの税金の支払いが必要になります。扶養控除は本来、103万円までの扶養内に入っている間は所得税と住民税の額が小さくなります。しかし、扶養外で働く際、節税効果がなくなり、年収によっては収入が減ります。年収が103万円を超えると扶養から外れ、103万円を超えた分に対して税金を支払わなきゃいけません。扶養者の所得税と住民税は増額され、配偶者も自分で社会保険料を支払うことになるので世帯収入が減る可能性があります。一方、扶養から外れるメリットは、社会保険の保証が手厚くなり老後の年金が増える点です。扶養控除から外れると、社会保険が手厚くなる半面、節税効果がなくなるので注意することが大切です。
・健康保険に自身で加入が必要になる
扶養控除の範囲外になると、扶養者は自身で健康保険に加入することが一般的です。扶養者が配偶者や子どもなど扶養控除の対象とする場合、その扶養控除の対象外の人は、自身で健康保険に加入する必要があります。扶養控除は本来、年収が103万円以上超えたときに扶養から外れ、今までは控除されていた税金や社会保険料を支払う額が増える可能性があります。そのため、103万円の壁を超えた場合、扶養から外れた際の手取り額がどのように変わるのか確認することが重要です。
3.扶養控除の範囲外の負担
本記事では、扶養控除の意味と扶養親族の条件、103万円の壁などについて詳しくご紹介していました。
扶養控除とは、年末調整で納税者に子供や親などの扶養対象がいる場合に受けられる制度です。扶養控除を受けると、本来かかる所得税や住民税の負担が軽減することが可能です。
扶養控除は誰でも受けられるものではなく、以下の条件によって定められています。
・世帯の子どもの年齢が16歳未満であること
・年間の給与所得が103万円以下であること
・生活費の仕送りを受けている等で、同一生計であること
・合計所得金額が48万円以下であること
扶養控除に入るのには、これらの条件を満たさない場合、扶養控除の対象外となります。
親族や子供を養っている方は、自身の収入が条件を満たしているか確認することが大切です。
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