はじめに
印入印紙とは、租税や手数料などの収納金徴収のために政府が発効した証標です。
領収書の電子化は、業務に関する書類を紙媒体で発行するのではなく、PDFやシステムなどの電子データを文書として発行します。
領収書とは本来、商品やサービスを提供する側が金銭の取引を行った際に、その事実証明として行うものです。
領収書を電子データとして発行した後は、紙の契約書と同等の法的証拠力が認められ、印入印紙を貼る必要がなくなります。
しかし、領収書を電子化する上で、PDFでの発行方法について気になる方が多いはずです。
本記事では、電子化された領収書に印入印紙はかかるのか、PDFでの発行方法などについてご紹介します。
目次:
1.印入印紙の適用範囲と電子化領収書の関係
印入印紙は領収書や契約書を作成するために必要になる場面が多いケースがあります。
印入印紙は本来、印紙税や手数料を支払うときに業務の対価として支払う契約書です。
その中で電子化領収書は、商品やサービスに対する金銭を支払うことを証明するには、印入印紙を貼付する必要があります。
電子化領収書で印入印紙が必要となる額は、5万円以上を超えたとき、印入印紙を貼付します。
電子化領収書において、印入印紙の適用範囲は以下のとおりです。
・5万円未満の場合:必要なし(非課税)
・5万円~100万円以下:200円分の印入印紙
・100万円~200万円以下:400円分の印入印紙
・200万円~300万円以下:600円分の印入印紙
2014年3月の印紙税法と租税特別措置法が改正前では、受取金額が3万円以上の受取書が課税の対象となっていました。
商品の売買で5万円未満だった場合、電子化領収書を発行する必要がありません。
印紙税の支払いが必要となる課税額は、適用範囲が決められているのでしっかり確認することが大切です。
2.電子化領収書のPDF発行に関する注意点
領収書をPDF形式に発行すると、紙媒体のときよりデータ管理がしやすくなります。しかし、領収書をPDF化として管理する場合、改ざんの危険性や二重発行される可能性があります。
領収書を電子化する際にこれらの注意点を押さえて活用することが重要です。
・改ざん防止のために電子署名を付与する
領収書をコンピュータ上で管理する上で、改ざんされるリスクがあります。領収書を適切に管理するためには、電子署名を付与して、文書データを暗号化することが重要です。電子署名には、本人が送信したという真正性が高いため、なりすましのリスクを減らすことが可能です。しかし、領収書をPDFとして管理するためには、さまざまな要件に満たす必要があります。領収書を発行する上で、電子帳簿保存と電子取引要件に対応する必要があります。そのため、電子化領収書で取引先とやり取りする際は、これらの要件を確認することが大切です。
・PDFを重複発行しないようにする
領収書をPDFで発行する際は、重複発行しないように気を付けることが重要です。領収書は経費の計上に重要な書類であり、もし重複発行をしてしまうと取引先が誤って経費を二重計上する危険性があります。また、PDF化された領収書をしてしまうと、取引先に税務調査が入り、申告内容とつじつまが合わないと指摘が入る可能性があります。業務で領収書をPDF化でやり取りをする際は、送信する枚数が適切であるかどうかチェックするようにしましょう。
・取引先企業から同意を得る必要がある
領収書をPDF化する注意点の一つが、取引先企業から同意を得る必要があることです。領収書をPDF化でやり取りする際に、取引先側でPDFで閲覧するツールも用意しないといけません。そのため、領収書を送付する前に取引先の企業と承諾を得てからやり取りをすることが大切です。また、印鑑の押印が必要かについても取引先に確認することもおすすめです。領収書をメールで送付する場合、取引先によっては慣習として押印を求める場合もあります。取引先とのトラブルを避けるために事前に相談することをおすすめします。
・システムの初期費用がかかる
電子化領収書をPDF発行する上で、システムを導入するための初期費用が大きくかかります。領収書をPDF化で管理する際に専用のツールやアプリケーションをインストールする必要があり、場合によっては複合機などを新たに購入する必要があります。領収書をPDF上で操作する場合、社員が電子化するまでは専門知識を持った人材を雇わないといけないケースもでてきます。領収書を電子化するのは、領収書を探す手間が省け、データもシンプルに取り出せる半面、コスト面も検討するようにしましょう。
3.電子化領収書のPDF発行方法
領収書をPDFとして発行するには、いくつかの発行方法があります。
領収書を紙で受け取った場合は、スキャナーまたはスマホで撮影する方法といった方法があります。
一方、手動でExcelやWordなどのソフトで領収書を作成する方法があります。
電子化領収書のPDF発行方法についてそれぞれ詳しく解説していきます。
スキャナーまたはスマホで使用する
紙の領収書をPDF化するには、コピー機やスキャナーで領収書をスキャンする必要がある点です。
スキャナーでは電子帳簿保存法の要件に定められていて、解像度が200dpi以上、赤・緑・青の256階調以上の要件を満たす機器を使用することが決められています。
領収書をスキャンする上でスマートフォンのカメラアプリを利用した保存やコピー機を利用した保存もスキャナー要件で認められています。
領収書をPDF化する際は、タイムスタンプの付与を行い、領収書内のデータを読み取れたら発行完了です。
領収書をスキャナで発行した後、真実性や検索要件を満たしているかチェックしましょう。
WordやExcelで作成する
領収書をPDFで発行する方法の一つとして、WordやExcelで作成する方法があります。
WordとExcelは元々、契約書や領収書などの作成に向いているソフトウェアでファイルの保存もスムーズに行うことが可能です。
WordやExcelで作成する場合、領収書を以下の手順でPDFで出力します。
1.WordやExcelで作成済みの領収書ファイルを開く
2.画面左上の「ファイル」をクリックする
3.PDFとして出力ボタンをクリック
4.PDFの発行名を入力し、保存場所を指定したら「発行」をクリック
5.領収書の発行が完了
Wordはさまざまな書類を作成・管理を行うことができますが、領収書を適切に管理する際はExcelがおすすめです。
電子化領収書を発行後、PC環境でレイアウト崩れたり文字化けする可能性があるため、必ずPDFで保存するようにしましょう。
まとめ
本記事では、電子化された領収書に印入印紙はかかるのか、PDFでの発行方法などについてご紹介しました。印入印紙は、取引にかかる書類を作成する際に支払う証票で、記載金額が5万円以上に超えた場合に貼付することになります。印入印紙を発行しない例は、銀行振込の場合や領収書のPDFファイルを送付する場合などのケースです。領収書をPDF化でやり取りする際、取引先の企業とあらかじめ承諾を得る必要があります。電子化領収書は紙でのファイリングの手間が削減できる半面、二重発行で送ってしまうリスクがあります。電子化領収書が二重発行にならないよう、電子上での書類の管理もチェックすることが大切です。業務で領収書をPDFで電子化を検討する際は、領収書発行業務の見直しも行っていくこともポイントです。
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