目次:
年末調整とは会社が次を確定させるための手続きのことです。
1. 従業員の給与から毎月天引きした所得税の調整
2. 支払うべき所得税の金額の確定
所得税はその年の所得が明らかにならないかぎり、正しい金額を知ることができません。その主な目的は本来支払うべき所得税と過不足の清算です。
また、年末調整は給与をもらっているすべての従業員が対象になりますが、次の条件を満たしている方は対象になりません。
〇 対象にならない人
また、次の条件に該当する方はその年の途中であっても対象となります。
この記事では年末調整の流れと手順について詳しく解説していきます。サクッと把握したい方はぜひチェックしてみてください。
年末調整の流れと手順は、次の3ステップにまとめることができます。
イメージは次のとおりです。
出典:【年末調整マニュアル】総務担当者が押さえておくべき年末調整のしかた
ここでは上記3ステップについて詳しく解説していきます。
ステップ①:従業員による申告
年末調整でまず行うことは、従業員に対して必要な書類を配布すると共に必要事項を記載してもらうことです。
このとき、次の書類が必要になります。
出典:国税庁
こちらの書類は給与所得者が次の控除を受けるために必要です。
注意すべきは扶養親族がいない方でも提出が必要だということ。もし扶養親族がいない場合であっても「いない」という申告をしなければなりません。
また、必要に応じて次の書類の提出が必要です。
⇒「給与所得者の保険料控除申告書」と「控除証明書」類の提出が必要。
出典:国税庁
⇒「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要。
出典:国税庁
なお、配偶者控除の要件は次のとおりです。
⇒「住宅借入金等特別控除申告書」の提出が必要
出典:国税庁
こちらの控除は1回目のみ確定申告が必要です。2回目以降は年末調整で済ますことができます。
⇒前職での「源泉徴収票」の提出が必要
出典:国税庁
転職した場合は前職の企業を退職した後から1ヶ月以内に源泉徴収票を受け取ることが可能です。この源泉徴収票がないことには年末調整を実施できません。
転職して中途入社した従業員もしくは当該従業員を受け入れた企業は、源泉徴収票を早めに提出・回収しましょう。
ステップ②:年末調整の計算
従業員から各種申告書の回収が完了すれば、次は年末調整の計算を行い、源泉徴収票にまとめます。
手順としては次のとおりです。
1. 「年末調整の計算」
2. 「源泉徴収票の作成」
それでは詳しく解説していきます。
〇 年末調整の計算手順
企業の多くはおそらく給与システムを導入していると思います。そのため、年末調整の計算は自動で計算されるケースがほとんどでしょう。
しかし、手計算の場合は次の手順で行います。
出典:【年末調整マニュアル】総務担当者が押さえておくべき年末調整のしかた
年末調整の計算において資料となるのが「源泉徴収簿」です。
源泉徴収簿は次の内容を記録する帳簿。
大切な帳簿に変わりはありませんが、法令上の義務はありません。したがって、毎月の源泉徴収の記録や年末調整に使用できる代替書類があれば、それを利用することができます(※ 給与台帳等の代用が一般的)。
〇 源泉徴収票の作成
末調整の計算が完了したら、従業員に向けて源泉徴収票を作成します。
源泉徴収票は次の3種によって構成されるものです。
「本人への交付用」に関しては、従業員における年末調整の結果をまとめた「確定申告」のような存在と言っても過言ではありません。
源泉徴収票は従業員からすると次の情報を確認できます。
つまり、従業員は源泉徴収票を手にすることで自分の年収を把握できます。
なお、会社は12月の最終給与支給時に源泉徴収票を交付しなければなりません。ミスのないよう管理を徹底しましょう。
ステップ③:各書類の作成と提出
年末調整の計算と源泉徴収票の作成を終えたら、次の3点を実施します。
1. 税務署や市区町村に提出する法定調書の作成
2. 作成した法定調書の提出
3. 源泉徴収税の納付
ここで注意すべきは源泉徴収税の納付期限。期限は法定調書の提出期限よりも早めに設定されているので「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成したら翌年の1月10日までに税務署に提出および納付する必要があります。
ただし、特例事業者にかぎっては1月20日までが納付期限です。
提出が必要な法定調書に関しては次のとおりです。
1. 支払調書
2. 法定調書合計表
3. 源泉徴収票
4. 給与支払報告書
それでは各調書について詳しく解説していきます。
支払調書
出典:国税庁
支払調書とは源泉徴収義務者が次の内容を証明するための書類です。
提出期限は年末調整を行った翌年の1月31日まで。法定調書合計表とともに税務署に提出します。
法定調書合計表
出典:国税庁
法定調書合計表とは、その他の法定調書を集計した表のこと。集計内容は次のとおりです。
提出期限は年末調整を行った翌年の1月31日までに税務署へ提出します。
源泉徴収票
出典:国税庁
源泉徴収票に関しては12月に従業員へ送付した内容と同じものを税務署に提出します。なお、提出期限は年末調整を行った翌年の1月31日までです。
給与支払報告書
給与支払報告書とは、事業者が市区町村へ提出する書類のひとつ。この報告書が提出されることで次年度の住民税額が確定します。
そんな給与支払報告書は次の2種類から構成されています。
1. 従業員ごとにまとめた「個人別明細書」
出典:国税庁
2. 事業所全体の個人別明細書をまとめた「総括表」
出典:国税庁
給与システムを利用している企業は、源泉徴収票と共に作成されるのが一般的です。しかし、手書きの場合は複数枚を作成する必要があるため、給与支払報告書(2枚)と源泉徴収票(2枚)が4枚複写の用紙を有効活用することをおすすめします。
提出期限は年末調整のあった翌年の1月31日まで。提出場所は従業員の居住区となる市区町村になります。
年末調整において提出が必要な法定調書は、原則として書面での提出が必要です。しかし、2021年1月1日以降より、提出すべき書類が100枚以上ある場合は電子申請での提出が義務化となりました。
従来は紙での提出のみとなっていましたが、昨今のペーパーレス化により申請手続きが大幅に改善されたと言えます。なお、電子申請はパソコンで完結できる上に書類を紙で用意する必要がありません。もっと言えば提出場所へ出向く必要もないので、申請手続きをどこまでもスマートにできます。提出すべき書類が100枚以上ある場合は、電子申請にシフトすることを検討しましょう。
年末調整は流れと手順をインプットすることで、作業効率を向上させることができます。
闇雲に書類と向き合うよりも、まずは必要な書類をそろえることからスタートしましょう。その後は流れと手順をToDoリストにまとめ、ひとつずつ実行していってください。
また、年末調整は確実に実施しなければなりません。帳簿にミスがあったり提出を怠るとペナルティを科せられるので注意しましょう。
スマートに、シンプルに、AI 搭載 PDF ソリューション
・ 第19回、24回、29回Vectorプロレジ部門賞受賞
・ 標準版からプロ版まで、幅広いのニーズに対応
・ Windows、Mac、iOS、Android、クラウドに対応
・ 7x12h体制アフターサービス
この文書または製品に関するご不明/ご意見がありましたら、 サポートセンター よりご連絡ください。ご指摘をお待ちしております!
役に立ちましたか?コメントしましょう!