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昨今はペーパーレス化が進んでいます。それは主に書類の電子化がメインですが、ここ数年では年末調整の電子化も想像以上に加速。大手企業はもちろんのこと、中小企業も年末調整の電子化に積極的です。
では、年末調整の電子化にはどういったメリットがあるのでしょうか。
結論から言うと、次の三つが得られることです。
このように年末調整の電子化は、納税者にとっても企業にとっても様々なメリットが得られます。
この記事では次のポイントを理解することができます。
年末調整の電子化について気になっている方は、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。
まずは年末調整の電子化における基本から解説していきます。
<年末調整の電子化における基本>
それでは詳しく解説していきます。
年末調整の電子化が可能になったのは、令和2年分の年末調整からです。キッカケは平成30年度の「税制改正」。これにより次の控除を電子化することが可能になりました。
これにより、年末調整の電子化は今後ますます盛んになっていくと思われます。事実、国は電子化に向けて積極的でさまざまな施策をおこなっている最中です。
それでは電子化での提出が可能な3つの控除について解説していきます。
1. 「生命保険料控除」
納税者が生命保険料もしくは介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、証明書をもとに作成した申告書を提出することで一定金額の所得控除を受けられます。
2. 「地震保険料控除」
出典:地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き
納税者が特定の損害保険契約等に関する地震等損害部分の保険料もしくは掛金を支払った場合、証明書をもとに申告書を作成することで一定金額の所得控除を受けられます。
3. 「住宅借入金等特別控除」
住宅借入金特別控除はそれぞれを満たした場合のみ、住宅ローン等の年末残高における合計額等から計算した金額をもとに、住みだした年分以後の控除が受けられます。
年末調整の電子化はメリットとデメリットがあります。
ここではそれぞれについて詳しく解説します。
年末調整を電子化するメリットは次のとおりです。
納税者は年末調整における書類を作成する際、手書きによる手続きが一般的です。しかし、電子化することにより、年末調整申告書の作成を簡素化できます。
さらに書面を紛失した場合も再発行する手間を省くことが可能。データにしている以上、削除しないかぎりは永遠に使用できるという強みがあります。
また、マイナポータル連携を利用することで、複数の控除証明書等を一度の処理で取得可能です。
企業は納税者がソフトで作成した年末調整申告書データを活用することにより、控除額の検算をする手間が省けます。
また、控除証明書をすべて電子化することにより、添付書類等をチェックする事務作業を削減可能。つまり、年末調整における事務負担を大幅に軽減することができます。
もっと言えば、年末調整を電子化することで申請書類をシステム上で配布・回収可能。これにより納税者との間で生じていた手間がカットされます。
年末調整の電子化はメリット尽くしと言っても過言ではありません。しかし、電子化を実現するためにはそれに応じて次のアクションが必要になります。
ここで重要になるのが社内で電子化のルールを共有しなければならないこと。電子化システムを統一しないことには、書面とデータでの申請が生じるため業務効率はかえって悪化します。
また、課題としては次のポイントが挙げられます。
なお、マイナポータル連携を利用する場合は以下をクリアしなければなりません。
年末調整の電子化を実現させるためには、このような導入が必要不可欠です。まずは実現するための会議からスタートさせましょう。
年末調整を電子化した場合のやり方は次のとおりです。
1. 納税者が控除に必要な電子データを揃える
まずは納税者となる従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領することからスタートします。主な控除証明書は次のとおりです。
2. 納税者が各申告書を作成する
納税者は年末調整控除申告書作成用ソフトをつかって年末調整に必要な申告書を作成します。
例)給与所得者の保険料控除申告書
出典:国税庁
完成したら電子データをインポート。計算に関してはソフトが自動で行ってくれます。なお、ソフトは国税庁が無償で提供しているので、どの企業でも利用可能です。
3. 納税者はデータを勤務先に提出する
2の年末調整申告書データが完成したら、1で用意した控除証明書等データと共に勤務先へ提出します。
4. 年税額の計算
納税者は3の電子データをもとに勤務先の給与システム等にインポート。その後は年税額を計算して完了です。
企業が年末調整の電子化を導入するうえで必要なことは次のとおりです。
ここでは上記3点について詳しく解説していきます。
企業は納税者に対して年末調整申告書を電子データで対応することを伝える必要があります。なお、年末調整の電子化については、事前に従業員から同意を得る必要はありません(法律上、問題ありません)。
しかし、電子化にあたっては納税者が必要な電子データの確保と申告書の作成をする必要があるため、早い段階で周知を行うことをおすすめします。
なお、企業が周知の際に納税者に伝えるべきポイントは次のとおりです。
会社は年末調整の電子化にあたって、年末調整申告書データや控除証明書等データをあつかうソフトを確立する必要があります。
有名なものでいえば、国税庁が無償で提供している「年末調整控除申告書作成用ソフト」が挙げられますが、自社システムを利用する場合でもそのソフトの使い方と事務手順を従業員に対して明確に伝えましょう。
企業が納税者から年末調整申告書に関する電子データを受け取って申請するには、所轄税務署長に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出する必要があります。
出典:国税庁
なお、税務署が承認されないかぎり、年末調整を電子化して申請することはできません。期限に間に合わせるためにも、早期の導入および提出を行いましょう。
ここでは年末調整の電子化に関するよくある質問をまとめました。
Q:従業員は申告書の提出が必要ですか?
A:はい必要です。申告書を提出しないかぎり、年末調整を実施できないので税金の確定や還付を受けることができません。これは電子化にかぎらず、書面での提出も同様です。
Q:年末調整の電子化によって削減できるコストはありますか?
A:書類にかかっていたコストをすべて削減できます。また、書類に関する事務も削減できるので、企業によっては大幅なコストカットを実現できるでしょう。
Q:電子化したら書類は破棄してもいいの?
A:保管が必要な原本(書面)もあります。電子化での保管が認められていない書類に関しては、書類での保管が必要になるので注意しましょう。
7、まとめ
この記事では年末調整の電子化について解説しましたが、電子化の導入はけっしてメリットばかりではありません。導入するには会社全体の理解が必要ですし、従業員の教育やシステムの構築も必要になります。
しかし、それらをすべてクリアできれば、納税者と企業にとっては大きなメリットが得られると言っていいでしょう。
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