宅建士(宅地建物取引士、旧称宅地建物取引主任)は、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーと並んで、非常に人気のある国家資格です。以下では宅建士の資格取得に関する情報、宅建法改正の動向、宅建士の主な仕事や、その仕事に役立ちその力を活かせるツールについて説明します。
目次:
一、宅建試験合格発表
今年度の宅建試験合格発表予定は以下の通りです(毎年ほぼ同じです)。
1)発表日時
試験日の26日(土日祝日を除く)後、今年度は2022年11月22日(火)9:30からです。
2)合格発表の確認方法
・一般財団法人不動産適正取引推進機構ホームページに、合格者受験番号、合否判定基準、試験問題の正解番号が掲示されます。
・パソコン及びスマートフォン等からは、合格発表日から翌年7月末までの間、アクセス可能です。
・合格者には、「簡易書留郵便」で合格証書等が発送されます。
・不合格者への結果の通知は行われません。
3)近年の合格点&合格率
・問題は50問あり、基本的に4肢択一のマークシート方式です。
・合格点、合格率は毎年変わりますが、過去10年間では合格点は35点前後、合格率は約15~17%です。
二、宅建士の資格が役立つ業界とは
宅建士の資格は以下の業界で求められています。
1)不動産業界
不動産業界はさまざまなジャンルを抱えていますが、その中でも、宅地、住宅、アパート・マンションなどの売買取引に特化した宅地建物取引業を営む場合、免許を取得することが大前提で、さらに宅地建物取引士を専任で雇う必要があります。
宅地建物取引士が専任かどうかを満たす要件は、「常勤性」と「専従性」で、パート・アルバイトや業務委託、兼業を持つ者は専任の宅地建物取引士としては認められません。
2)建設業界
建設業界でも大手やデベロッパーとなると、自社で建築から完成物件の販売まで手掛けているところもあります。住宅やマンションの販売には宅地建物取引業の免許が必要となるので、宅地建物取引士がどうしても必要になります。
3)金融・保険業界
金融や保険業界でも、不動産の専門家である宅地建物取引士が求められます。担保を必要とする融資業務においては、不動産に対する適切な知識や鑑定力がなければ適切な融資の判断ができないからです。各種不動産投資や住宅ローン等を取り扱っている金融機関、契約に際して住宅ローンの有無が関わってくる生命保険関係などでその需要が高まっています。
三、宅建士の仕事の主な内容
1)宅地建物取引業法施行規則の一部改正について
2021年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」において、押印を求める行政手続・民間手続について、その押印を不要とするとともに、民間手続における書面交付等について、電磁的方法により行うことなどを可能とする見直しが行われました。
それに伴い、宅地建物取引業法関連では、宅地建物取引士の押印廃止や、重要事項説明書、契約締結時書面、媒介契約締結時書面等の書面の電磁的方法による提供を可能とする改正施行規則が2022年5月 18 日から施行されました。
2)重要事項説明
宅地建物取引士は、不動産の売買契約締結に欠かせない「重要事項説明」をメインの仕事にしています。重要事項説明は宅地建物取引士の独占業務で、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要があります。
説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なりますが、大きく分けて、①取引対象不動産の権利関係、②取引対象不動産に係る法令上の制限、③取引対象不動産の状態やその見込み、④契約の条件 に関する事項とされています。
施行規則の改正により、相手方の承諾を得れば、重要事項説明書を電子メールやWebからのダウンロードで提供することができ、また、重要事項説明もテレビ会議等で行うことが可能になりました。
3)重要事項説明書及び契約書への記名・押印
従来、宅地建物取引士が重要事項説明書に記名押印する必要がありましたが、施行規則改正により記名のみとなり、電磁的な方法で行うことができるようになりました。
四、宅建士の仕事に役立つツールとは
宅地建物取引士は業務として多くの図面や書類をPDF形式で扱っており、従来からPDF編集ソフトが必須となっていましたが、今回の施行規則改正によるデジタル化の推進によって、よりその重要性が増しています。
TV会議を通じて重要事項説明を行うのなら、事前に重要事項説明書のPDFを先方にメール送付しておき、会議の席でお互いに確認しながら電子署名し、必要ならPDFを編集し、変更できないようにセキュリティ処理をしたうえで先方に再度メール送付することになります。
以下ではオールインワンPDF編集ソフトのPDFelementを使って、重要事項説明書に必要な処理を行う方法を説明します。
1)電子署名機能
押印は不要となりましたが、記名は必要です。記名としては「手書き」、「パソコンで入力」、「作成済みのサインのアップロード」が選べます。
①「手書き」
・上部メニューの「注釈」→ペンの形の「署名」→「作成」をクリック
・「描画」をクリックするとペンが現れるので、手書き
・「OK」をクリックすると書面上にサインが現れるので、位置、サイズを調整
②「パソコン入力」
・「描画」の右側の「入力」をクリックすると入力Windowが出るので署名をPC入力し、色及びフォントを選択する。
・「OK」をクリックすると書面上にサインが現れるので、位置、サイズを調整
③「作成済みのサインのアップロード」
・一番左側のアップロードを選択し、「画像を選択」をクリックすれば画像選択画面が表示され、作成済みの画像でサインすることができます。
押印は不要となりましたが、相手先の要望がある場合には、スタンプ機能を使って電子的な押印をすることが可能です。
2)PDF編集機能(書類処理)
編集機能を使えば、テキストの編集や画像の追加が可能です。
また、ページ機能を使えば、ページの追加/削除/入替/トリミング/回転などが可能です。
3)パスワード機能(セキュリティ)
最終文書は変更できないように、以下の手順でPDFにパスワードを設定します。
・「保護」→「パスワードを設定」をクリック
・「セキュリティ」設定画面が出るので設定を行う
(「権限パスワード」のみチェックしてパスワードを入力し、印刷は許可する)
・「保存」をクリックし、ファイル名を付けて保存
まとめ
宅地建物取引士の資格取得に関する情報、宅地建物取引法改正の動向、宅地建物取引士の主な仕事や、その仕事に活用できるPDFelememtの使い方について説明しました。
宅地建物取引法施行規則の改正により、宅地建物取引士にとって、PDF編集ソフトの必要性がより大きくなってきています。無料の試用版などを活用して、使いやすいソフトを見極めましょう。
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