簿記に関する資格のなかで代表的なもののひとつが、「日商簿記検定試験」です。
日商簿記検定では、1級から3級、簿記初級、原価計算初級の5種類のレベルの試験が実施されています。
とはいえ、就職や転職に向けたスキルアップを考えている場合は、簿記3級以上の取得が必要。
簿記3級に合格することで基本的な商業簿記を修得していることが、簿記2級に合格することで高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得していることが証明されるため、企業から求められる資格のひとつといえます。
今回は、そんな簿記検定取得を考えている方々に向け、日商簿記検定試験の概要と合格に向けての学習手順やスケジューリングなどについて、解説していきます。
日商簿記試験の試験方法には、受験希望地の商工会議所で受験する「統一試験」と企業や学校で受験する「団体試験」、ネット試験会場で受験する「ネット試験」の3種類あります。
受験方式や試験日程によって受験可能な級が異なるため、事前に確認したうえで、どの受験方式にするか、どの日程で受験するかなどを検討する必要があります。
なお、受験料については、どの受験方式を選択しても同一料金です。
受験料:1級 7,850円、2級 4,720円、3級 2,850円
2022年度の簿記試験は、2022年6月12日(日)に1〜3級の対象の第1回目(第161回)が実施され、以降、第2回、第3回と計3回の試験が実施されます。
第2回、第3回のそれぞれの日程と試験が実施される級は、次のとおりです。
●第162回 :2022年11月20日(日)
対象級:1〜3級
●第163回:2023年2月26日(日)
対象級:2〜3級
施行日は各地商工会議所が企業・学校等と調整のうえ決定。
対象級:2~3級
※2022年4月1日(金)~4月13日(水)、6月6日(月)~6月15日(水)、11月14日(月)~11月23日(水・祝)、2023年2月20日(月)~3月1日(水)は、施行休止期間。
試験日は、各ネット試験会場(https://links.kentei.ne.jp/organization/)が決定。
対象級:2~3級
※2022年4月1日(金)~4月13日(水)、6月6日(月)~6月15日(水)、11月14日(月)~11月23日(水・祝)、2023年2月20日(月)~3月1日(水)は、施行休止期間。
簿記3級の試験では「商業簿記」の1科目、簿記1,2級の試験では「商業簿記」と「工業簿記」の2科目が出題されます。
商業簿記とは、関係者に正確な報告を行うために必須の知識で、購買活動や販売活動など、企業外との取引を記録・計算する技能です。
工業簿記とは、経営管理に必須の知識で、企業内の部門別・製品別に資源の投入を記録・計算する技能です。
なお、各級における出題内容の詳細は、次のURLで確認できます。
出題区分表:https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list
ここでは、各級の試験科目・時間・合格基準などをまとめます。
レベル |
試験科目・時間・合格基準 |
1級 |
簿記1級に合格すると、税理士試験の受験資格が得られることから、税理士や公認会計士などの登竜門とされています。 1級は、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえ、経営管理や経営分析を行うことができるレベルで、極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得していることを証明します。 ●試験開始時刻9:00 ●試験科目
|
2級 |
簿記2級は、企業から最も求められる資格のひとつといえます。 2級は、企業活動や会計実務を踏まえ、適切な処理や分析を行うことができるレベルで、高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得していることを証明します。 ●試験科目
|
3級 |
簿記3級は、多くの企業から評価される資格のひとつといえます。 3級は、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うことができるレベルで、基本的な商業簿記を修得していることを証明します。 ●試験科目
|
簿記2級・3級は、経理実務の知識を証明することができることから、多くの企業から評価される資格です。
簿記2・3級レベルの知識は、商業簿記を基にした出入金の管理や決算書の作成など、一般企業の経理部門での経理業務で大いに活用できます。
また、その他、専門的な職場での資格の活用も可能です。
税理士事務所では、主に税務に関する業務を請け負います。
簿記2・3級を取得することで、税務書類の作成や税務相談、決算書類作成などのサポートに活かすことができます。
特に、日商簿記2級以上を取得していると採用に有利になるといわれています。
会計事務所では、税務・会計に関するサービスを広く提供します。
簿記2・3級を取得することで、帳簿作成の代行、決算書類作の作成などのサポートに活かすことができます。
コンサルティング会社では、企業の課題解決の支援を行います。
簿記2・3級を取得することで、財務状況を把握するための貸借対照表や損益計算書といった書類の確認業務などに活かすことができます。
仕事や学校があるなかで、資格の取得のための学習時間の確保はとても難しく、最大の課題といえます。
特に、出題範囲が膨大な簿記試験に合格するためには、次の3つのポイントを抑えた効率的な学習が必要不可欠です。
対策用のテキストや参考書などを入手したら、まずは、簿記検定合格のためにどのような知識が必要なのかを把握するためにも、全体を通して読んでみることをおすすめします。
そして、テキスト全体に目を通したら、仕訳ルール、帳票の種類や作成方法などのポイントを押さえながら、取引開始から決算書類をまとめるまでの手続き全体の流れを理解しながらじっくりと読み込みましょう。
以降は、不安な分野や苦手な分野を中心に読み返し、知識を定着させます。
簿記試験のような検定試験には、頻出する項目があったり、出題傾向にパターンがあったりします。
宿題範囲が多いため学習に時間がかかりがちですが、過去問をたくさん解くことで、出題パターンに慣れると共に、頻出する項目を把握することができます。
出題パターンに慣れておけば実際の試験のときに慌てることもなく、頻出する項目が分かれば効率的に得点を伸ばせる可能性も。
簿記検定の過去問は、さまざまな方法で入手が可能です。過去問はできるだけたくさん解くようにしましょう。
本番の直前1~2週間前くらいまでには、過去問を解きながら知識を定着させ、不安な分野を克服しておきましょう。
以降、試験本番までは、本番を想定し、模擬問題や予想問題などで実戦的に問題を解いていくことをおすすめします。
問題を解きながら、見直しを含め、全体的にどのような時間配分で解き進めてくかをシュミレーションしておくと、余裕をもって本番に臨むことができるでしょう。
なお、ここで落とした問題は、もう一度テキストを読み、しっかりと理解を深めておきます。
社会人にとって、資格取得の最大の課題は時間の確保です。
合格に必要なおおよその学習時間が分かれば、どのくらいのペースで学習すればよいのか、どのくらいの時期に受験すればよいかなど、目標が立てやすくなります。
受験級によって出題範囲が異なるため、一般的にいわれている合格に必要な学習時間の目安も級によって変わります。
簿記2級合格に必要な独学の場合の学習時間は、一般的に250時間~350時間が目安といわれています。
1日に1~2時間の学習時間が確保できた場合、期間は4~6カ月必要になります。
簿記3級合格に必要な独学の場合の学習時間は、一般的に150時間~250時間が目安といわれています。
1日に1~2時間の学習時間が確保できた場合、期間は2~4カ月必要になります。
今回は、代表的な簿記資格のひとつ「日商簿記検定試験」について、ご紹介してきました。
簿記試験は、経理業務に必要な知識を有することが証明される資格で、就職や転職に有利な資格として知られています。
また、簿記試験では、級によって知識・技術のレベルを測ることができるため、スキルアップに向けた目標が立てやすいという特徴もあります。
資格取得のために、仕事や学校があるなかで学習時間を確保することは、思っている以上に大変なことですが、合格は確実にキャリアアップにつながります。
簿記試験の学習方法は、独学はもちろんのこと、eラーニング・通信・通学など、さまざまなツールも提供されています。
是非、ご自分に合った学習方法を見つけ、効率的に学習を進めながら、確実に合格をつかんでください。
この文書または製品に関するご不明/ご意見がありましたら、 サポートセンター よりご連絡ください。ご指摘をお待ちしております!
役に立ちましたか?コメントしましょう!