最近ではAI(人工知能)に関するニュースをよく耳にするようになりました。医療や製造、自治体など、さまざまな分野でAIが活用されています。そして、最近ではAIを使った事務作業の効率化が始まっています。ここではAI OCRについて詳しくご紹介しましょう。
目次:
Part 1. AI OCRとは
AI OCRとは、AIの技術を融合させたOCRのことです。AIには「機械学習」と「深層学習(ディープラーニング)」機能が備わっています。機械学習とは、人が指定する抽出するポイントをAIが理解し学習することで、正しいデータを選び出します。一方、深層学習は人が抽出ポイントを指定しなくてもAIが自分で判断するので、異なる形式の書類でも抽出するポイントを自ら見つけ出して必要なデータを引き出します。これらの学習機能によって使うほどにデータが集められ、精度の向上とともに対応できる範囲が広がるのです。もしイレギュラーが起きても、自分で学習した内容に基づいてルールを作るので、正確な結果を出すことができます。
たとえば、形式の違う書類を2枚用意し、日付を抽出するとします。日付が記載されている場所はそれぞれ違っていても、「○○年〇月〇日」といった文字列を見つけ出して正確に日付を抽出できるのです。AI OCRを活用すれば帳票の読み取りがさらに正確になり、手書きの文字やイレギュラーな形式のフォーマット文書でも認識できるので、事務作業の負担を大きく削減できます。
Part 2. AI OCRとOCRの違い
AI OCRとOCRの大きな違いは、異なるフォーマットのデータや手書きの文字を正確に読み込めるかという点です。OCRは画像データのテキスト部分を文字データに変換する機能のことをいいます。人は見ただけで文字を理解できますが、パソコンにはそれができません。そのため、一度人がパソコンに文字や数字を入力し、データ化する必要がありました。しかし、手作業ではどうしても時間が掛かり、効率が良いとはいえません。そこで、人が行っていたデータ入力を代行するシステムとして誕生したのがOCRです。しかし、決められたフォーマットと予想された文字の形でなければ正確に読み取ることができず、運用は限定的でした。
一方、AI OCRはOCRが持つ文字を読み取りデジタルデータ化する機能に、AIがもつ機械学習と深層学習といった人工知能を掛け合わせています。フォーマットが異なっていても、さらにそれが手書きの文字であっても抽出ポイントを的確に判断し必要なデータを選び出します。OCRの一歩進んだシステムがAI OCRだといえるでしょう。
Part 3. AI OCRのメリット
AI OCRのメリットには、伝票や帳票の読み取りがあります。OCRのときは決まったフォーマットとあらかじめ想定していた文字の形でなければ読み取りができませんでしたが、AI OCRは想定外の文字の形が出てきても対応が可能です。最初は読み間違いが発生するかもしれませんが、AIが間違えたデータも学習するので回数を重ねるごとに文字識字率が上がり、イレギュラーな文字でも正確に読み取れるようになります。
また、さまざまな形式をした帳票でもシステムを変えずに対応が可能です。発注書や納品書、請求書の形式は取引先によって違いがあります。AI OCRは読取位置や項目を自動抽出するので、フォーマットが異なる帳票でもスキャンするだけで文字を認識し、作業効率アップにつながります。ほかにも、FAXや名刺などのペーパーレス化も可能です。紙ベースの情報をデータ化し一元化すれば、情報の共有が簡単になり、見たい資料を簡単に探し出すことができます。
さらにRPAと連携すれば作業効率は格段に上がります。RPAとはRobotic Process Automationの略で、人が行う業務をソフトウェアロボットに任せることをいいます。RPAはデータの抽出や転記、ファイル作成といった判断がいらない単純作業が得意で、人と比べると格段に速いスピードで、なおかつ正確に作業を行えます。しかし、RPAはパソコン上で動くシステムなので、前段階として人が紙媒体の情報をパソコンに入力する作業が必要でした。AI OCRと連携させれば紙ベースの情報から必要なデータを抽出し、入力・集計・加工・出力といった一連の事務作業を人の手を加えず自動で処理できるようになります。
AI OCRは実際にさまざまな企業に採用されていて、スポーツジムの手書きの入会申込書処理や税理士事務所の転記作業と人員の効率化、不動産会社の不動産管理に関わる帳票処理業務の効率化など、多くの成果を上げています。
Part 4. AI OCRなら業務効率アップは確実!
AI OCRはOCRでは難しかった正確な文字認識や異なるフォーマットへの対応が可能です。また、名刺やFAX、マニュアルといった紙ベースのデータをデジタル化でき、情報の共有や検索、保管がしやすくなります。RPAと連携すれば紙ベースからデータ抽出・入力・集計・加工・出力といった一連の事務作業を自動で行え、さらに効率化できます。
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