はじめに
最近、AIを搭載した検索エンジンが次々とリリースされ続けています。その中でも、特にGoogleのSGEとMicrosoftのBing AIチャットは、すぐれたAI検索エンジンを搭載しているすぐれものです。
この記事では、Google SGEとMicrosoft Bing AIチャットを比較して、どちらの検索エンジンがよりすぐれているのか解説します。この記事を読んでAI搭載検索エンジンに少しでも興味を持ったときには、実際に利用してその機能を確かめてみてください。
目次:
Part1. 検索エンジンの歴史
そもそも検索エンジンが初めて世の中に出現したのは、今からちょうど30年前の1994年にまでさかのぼります。検索エンジンを開発したのはなんと日本人で「千里眼」と名付けられました。
現在のGoogleのもととなる検索エンジンは、その2年後の1996年に「BackRub」として開発され、1998年にGoogleが創業します。(google.com取得は1997年)なお、日本でGoogleがリリースされたのは2000年です。これと前後して1996年、Yahoo! JAPANが日本で初めて検索エンジンを登場させました。一時期はGoogleの検索エンジンを搭載したものの、その後に提携を解消しています。Googleについてはご存じのとおり、現在数多くの人たちに利用され続けています。
一方、Microsoftは検索エンジンでは後れをとり、2005年にようやく検索エンジン「MSNサーチ」を登場させました。その後、Liveサーチ、Microsoft Liveサーチ、Bingとその名を変えたものの認知度は上がらず、長きにわたりGoogleの後塵を拝することとなります。
転機が訪れたのは2022年11月のChatGPTの出現です。ChatGPTは、いまや全世界に知れ渡る生成AIとして多くの人たちに利用されています。実は、ChatGPTを開発したOpenAI社はMicrosoft傘下の企業で、このことがBing AIチャットを広く世に知らしめることにつながる大きな要因のひとつです。
いまやGoogleとMicrosoftは検索エンジンで世界をリードする企業と呼ばれています。しかし、その歴史は20~30年と比較的浅く、いかに技術の進歩が早いのかがよくわかります。
Part2. AI技術の進化が検索エンジンに与える影響
AI技術の進化による検索エンジンへの影響は以下の点が考えられます。
・URLリンクのリストではなく知りたい情報を文章で回答できる
・検索したい内容を言語として伝えやすくなり知りたい情報が適切に検索できる
・複数の検索結果をまとめて伝えられるようになった
特に、従来のように検索結果をURLリストで表示するのではなく、知りたい情報を文章で表示してくれるようになったことは大きな影響のひとつです。さらに、検索したい言葉が思い出せない、もしくはうまく言語化できない場合でもチャットに直接質問ができるため、調べたいものを検索しやすくなった点も影響のひとつであるといえます。
Part3. トップ検索エンジンのAI機能: 現状と特徴
かつて検索エンジン最大手といわれたGoogleに対して、急速に勢いを増すMicrosoftの出現により、いまや両社が検索エンジンの2代巨頭と呼ばれるようになりました。
これほどまでに注目されるようになった検索エンジン、すなわちSGEとBing AIチャットがどのようなものなのか、現状とその特徴について解説します。
3.1 Google検索の生成AI機能「SGE」
SGEはGoogleによって開発されたAI機能搭載の検索エンジンです。日本語版の試験運用は2023年8月30日から開始されました。なお、SGEそのものは2023年5月10日に「Google I/O」にて発表されていて、日本語版はその3か月後に登場したことになります。
SGEは試験段階のAIとしてリリースされているため利用にはGoogleアカウントが必要です。さらにSGEを利用する場合は設定をオンにしなければなりません。もっとも、この点については現在トライアルであるという意味合いが強く、正式リリースされれば設定変更なしで利用できるものと予想されます。
実際にSGEを使用すると、そのシンプルさに驚かされます。今まで使用していたGoogleの画面とほぼ変わりはありません。検索結果の上部にAIが検索した結果が表示され、それ以外は今までと同じくGoogle検索の結果が表示されます。
これはGoogleの広告スポンサーとの兼ね合いがあるものと推測されます。リスティング広告を利用している企業は検索結果の上位に表示されるため、こうした表示は広告を出している企業に対する配慮でしょう。
このようにシンプルではあるもののAIの機能はすばらしく、複数の検索結果が同時に表示されるほか、知りたい内容を適切に示してくれます。現段階では試験的にリリースしているため、今後はこうした点についても改良を積み重ねていくものと思われます。
3.2 MicrosoftのBing AIチャット
Bing AIチャットは、Microsoftによって2023年2月にリリースされたAI機能搭載の検索エンジンです。
Bing AIチャットはChatGPTと同じAIを使用していて、その能力は非常にすぐれています。Bing AIは、検索先URLを表示するとともに、検索結果の一部を画像で表示するため、わかりやすいというメリットがあります。Googleも検索結果を画像として表示する機能はありますが、Bing AIチャットの場合、チャット内で画像を表示してくれるためイメージしやすいのです。
そのほかにも、会話のスタイルが選べたり、Image Creatorとの連携で画像生成AIを利用できたりと、Bing AIチャットは使い勝手がよく便利な機能を備えています。今後はBing AIをバージョンアップさせ、新たな機能を追加していくことが予想されます。
3.3 Yahoo!知恵袋の「AI回答機能」
SGE、Bing AIチャット以外にもAIを利用したWebサービスが存在します。それが、Yahoo!知恵袋の「AI回答機能」です。
AI回答機能はYahoo!知恵袋に投稿した質問にAIが回答するものです。検索エンジンとは少し系統が違うものの、疑問や悩みをAIが回答してくれるという点では、同じ機能を提供しているといえるでしょう。
AI回答機能にはOpenAI社のGPT-4が搭載されていて、かなり精度の高い回答を得られることが期待できます。現在、回答できる項目は「悩み相談」と「歴史」のみに限定されていますが、今後はカテゴリーを増やすことが予想され、私たちの悩みや疑問をすぐに解決できる環境が整うものと予想されます。
Part4. Google対Microsoft :SGEとBing AIの比較
ここで、SGEとBing AIの違いを比較してみました。
それぞれの違いや特徴をご紹介します。なお、応答速度やコンテンツの質などは体感にもとづきます。あらかじめご了承ください。
データの鮮度 | 信頼度 | 応答速度 | コンテンツの質 | 料金 | 文字数制限 | |
SGE | 高い | 高い | 早い |
テキストベースでやや見づらい(画像が入ることもある) |
無料(アカウント作成が必要) | なし |
Bing AI | 高い | 高い | 若干時間がかかる | 画像、リンク先が表示されて見やすい | 無料 | 約2,000文字 |
SGE、Bing AIチャットともに最新のデータが表示されます。双方とも検索上位サイトの情報を取得して表示するため信頼度は高いといえます。ただし、SGEの場合、時々個人ブログの内容が表示されるケースもありました。コンテンツの質については、画像表示されるBing AIチャットの方がわかりやすいといえるでしょう。
なお、Bing AIチャットの場合、1度に質問できる字数は2,000文字に制限されています。さらに、1トピックあたりの質問回数は30回に制限されますので注意が必要です。
Part5. AI検索エンジンツールの利用時のポイント
AI検索エンジンを利用する際に、以下のポイントを踏まえると自分に合うコンテンツを得られます。参考にしてみてください。
・検索、生成したい内容を具体的に伝える
・検索したい用語や生成したいものが明確でない場合はイメージを伝える
・検索したい内容が表示されるまで何度も繰り返し聞いてみる
・検索結果後にAIから提案される検索条件を使用してみる
ポイントは1回で正解を求めようとするのではなく、何度も繰り返し聞いてみることです。AIはすぐれているものの、必ずしも私たちの問いを正確に理解しているわけではありません。そのため、検索したい内容に近づくように何度も聞いてみることが重要です。
何度も問い合わせてみることで、AIに答えてほしい内容に近づくような質問を自然と投げかけられるようになります。
まとめ
今回はGoogleとMicrosoft、どちらのAI搭載検索エンジンがすぐれているのか比較してみました。
結論からいえば、SGE、Bird AIチャット、どちらのAIもすぐれていて甲乙つけがたいといえます。検索結果については両社とも最新情報を盛り込んでいて、情報の質はそれほど変わりません。
ただしSGEはまだ試験段階であり、結果の表示に関して広告主に配慮している部分が見受けられます。検索結果はいたってシンプルで、グラフィカルで視覚的に理解しやすいのはBing AIチャットに軍配が上がります。この点については今後Googleも改良してくるでしょう。
とはいえ、SGEとBing AIチャット、いずれの検索エンジンも私たちにとって魅力的で便利なツールです。もし次世代のAI搭載検索エンジンに興味を持ったときには、この記事を参考にいろいろと試してみることをおすすめします。
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