建設業・不動産業などでは、特定の書類を一定期間保存する義務があります。これらは法令で定められており、違反すると罰則の対象となるので注意が必要です。
さらに、このような重要な書類の保存には、適切な保存・管理と安全性の確保が重要になります。
今回は、建設業・不動産業で保存が必要な書類の概要と保存期間、その保存方法について解説していきます。さらに、書類の保存に便利なツールも確認しましょう。
建設業・不動産業における書類保存の重要性
建設業・不動産業に関する「建設業法」や「不動産業法」といった法令では、指定された書類を一定期間保存することが義務付けられています。
万が一、遵守しなかった場合には、罰則や許可の取り消しといった処罰の対象となります。
義務付けられている書類を保存することは、処罰を回避だけでなく、トラブルが生じた際に「原因を特定」したり、「適性を証明」したりするためにも必要です。
また、書類を適切に管理・保存しておくことで、顧客や取引先に対する長期的なフォローが可能になったり、蓄積された過去の事例が今後の参考になったりするため、企業の信頼性の確保にもつながります。
このように、建設業や不動産業において書類の保存は、法令遵守、紛争解決、信頼性の確保、業務効率の向上、財務管理など、さまざまな側面で重要となるのです。
建設業・不動産業で保存すべき書類
建設業法では、「帳簿」「帳簿の添付書類」「営業に関する図書」の3種類の書類を保存する義務が定められています。
1)帳簿
「帳簿」には、項目が記載されている必要があります。
①営業所の代表者の氏名とその者が営業所の代表者になった年月日
②注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項
③発注者(宅地建物取引業者を除く)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関す
④下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する事項
⑤支払に関する事項(特定建設業者が注文者となって資本金4,000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請け契約を締結したとき)
2)帳簿の添付書類
「帳簿の添付書類」とは、場合により添付が必要となる書類で、その書類の種類には次のようなものがあります。
・契約書(必須)
・下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類、又はその写し(特定建設業者が注文者となって資本金4,000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合)
・工事完成後に施工体制台帳のうち以下に掲げる事項が記載された部分(公共工事又は下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合)
3)営業に関する図書
「営業に関する図書」には、次のようなものがあります。
・発注者と工事内容についての打ち合わせ記録(必須)
・完成図(建設業者が作成した場合又は発注者から受領した場合)
・施工体系図(公共工事又は下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合)
※ 引用:「建設業法令遵守ガイドライン(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000188.html) 」
書類の保存期間
法令によって義務付けられている書類の保存期間は、次のとおりです。
▼義務付けられている書類の保存期間
「帳簿」及び「帳簿の添付書類」 | 建設工事の目的物の引渡しから5年間 (住宅を新築する建設工事に係るものにあっては10年間) |
「営業に関する図書」 | 10年間 |
書類の保存方式
書類は、「紙」または「データ」のいずれかの方法で保存します。保存方式に指定はないため、管理・保存しやすい方法を選択してください。
ここでは、紙やデータで保存する際の方法や注意点などについて解説していきます。
1. 紙で保存
紙書類の保存には、適切な保管場所の選定と確保、安全対策の実施が重要になります。
建設業・不動産業で保存が義務付けられた書類は、5~10年間保存する必要があるため、紙の劣化には十分な注意が必要です。
紙の品質保持には、湿度と温度が大きく影響するため、保管場所は適切な温度・湿度が一定になるよう管理できる場所を選びましょう。
さらに、火災や水害などの災害に備えるとともに、書類の盗難や不正アクセスを防止するための監視カメラや警報システムの設置も求められます。
このように、紙による重要書類の保存には、保管場所の適切な選択と管理がとても重要です。
加えて、確実に定められた期間保存するためにも、書類の定期的な点検やメンテナンスも実施しましょう。
2. 電子データで保存
電子データで保存する場合は、長期保存に適したPDFやTIFFなどのファイル形式を選択することをおすすめします。
特に、PDFは、広く使用されているだけでなく、PDF編集ソフトなどを使用してPDFを検索可能なテキストデータにすることも可能。これにより、データの検索効率を格段に向上させることができます。
また、建設業・不動産業で保存が義務付けられた書類には秘匿性の高い情報が多いため、保存データを暗号化したり、アクセス権限を設定したりするなど、不正アクセスや漏洩リスクからデータを守ることがとても重要です。
加えて、データの喪失や災害などによるリスクを防ぐためにも、定期的にバックアップを取り、異なる場所に保存しておきましょう。
PDFエレメントを活用した書類管理
PDFエレメントは、PDFの作成や編集だけでなく、ファイルの変換・分割・結合、ファイルの保護、AIツールによる検索・要約・翻訳などが可能なオールインワンのPDF編集ソフトです。
たとえば、紙の書類を電子データで保存したい場合やPDFを安全に保存したい場合には、PDF編集ソフトを使用する必要があります。
ここでは、PDFエレメントを活用して書類管理を円滑に行う方法をご紹介していきます。
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1. 紙書類をPDF化
紙書類をPDF化する場合は、プリンタやスマホなどを使用してスキャンして電子データ化します。
PDFエレメントでは、スキャンした書類の画像データをPDF化したり、PDF化したデータはOCR機能を利用してテキスト化したりすることができます。
【画像データのPDF化】
画像データをPDF化する場合は、PDFエレメントで画像を開き、PDFで保存します。
1)画像ファイルをPDFエレメントで開き、PDF化します。
2)「保存」をクリックし、PDFファイルとして保存します。
【OCR機能によるテキスト化】
OCR機能によるテキスト化する場合は、PDFエレメントで画像を開き、OCR機能を実行します。
1)画像ファイルをPDFエレメントで開きます。
2)「OCRを実行する」をクリックします。
3)「OCR PDF」ダイアログボックスが開きます。
「言語認識」で言語を選択し、「適用」をクリックします。
4)テキスト化されたら、「保存」をクリックします。
2. PDF書類の保護
PDF化したデータは、安全な状態で保存する必要があります。
PDFエレメントでは、PDFデータにパスワードを設定してファイルを保護することができます。
▼PDF書類の保護
1)PDFをPDFエレメントで開きます。
2)「保護」タブから「暗号化」をクリックし、「暗号化」ダイアログボックスでパスワードや保護範囲を設定し、「保存」をクリックします。
3)指定したタイミングで設定したパスワードの入力が求められます。
3. クラウドストレージとの連携
PDFデータをクラウドストレージと連携することで、複数のメンバーとのファイル共有が可能になります。
PDFエレメントでは、保存したデータをPDFエレメントのクラウドストレージ上に保存し、そのURLを配布することでファイルの共有が可能です。
1)PDFelementで編集する図面を開きます。
2)「共有」をクリックし、「共有」ダイアログボックスを開きます。
3)「リンク」タブで保存先のURLを発行したり、「モバイル」で保存先のQRコードを発行したり、「メール」で添付ファイルとして送信したりすることができます。
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まとめ
今回は、建設業・不動産業で保存が必要な書類の概要と保存期間、その保存方法について解説すると同時に、PDF書類の保存に便利な「PDFエレメント」の使い方についてもご紹介しました。
重要な書類を長期間保存する場合には、紙でも、電子データでも、それぞれセキュリティ対策を万全にしながら、確実に保存できるよう徹底した管理も必要となります。
PDFエレメントで書類をPDF化することで、ファイルにパスワードを設定し、保護することも可能。保存時の安全性を向上させることができます。この記事を参考に、重要な書類を確実に保存するベストな方法を見つけてください。
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